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社会福祉協議会の仕事(コミュニティソーシャルワーカー)
社会福祉協議会は、全都道府県と市区町村に設置されていますが、何をしている団体かはあまり知られていません。
この声は、住民だけでなく、同業者や専門職からも聞かれます。
社協の仕事については、これまで"住民主体".という言葉を用いて説明されてきました。
これはとても大切な概念ではありますが、イマイチ分かりにくいのもまた事実です。
この住民主体という言葉に代わる今日的な社協のキーワードは、"コミュニティソーシャルワーク"です。
コミュニティソーシャルワークとは、個人の支援に加えて、その個人が暮らす地域やコミュニティ活動も支援することを特徴とする、地域を舞台としたソーシャルワークです。
最近では社協で現場を担当する職員は、コミュニティソーシャルワーカーと呼ばれることが一般的になってきました。
コミュニティソーシャルワーカーの仕事
社協の仕事が分かりやすく説明されているものとして、豊島区民社会福祉協議会の冊子があります。
豊島区社協のコミュニティソーシャルワーカーの活動は、『この社会で生き抜くことの支援とおたがいさまの寛容な地域社会の実現』を目標に掲げながら、下記の5点に整理されています。
①個別相談・支援
②地域支援活動
③地域の実態把握
④住民の福祉意識の醸成
⑤地域のネットワークづくり
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これらを通して、社協の仕事の全体像を特集したいと思います。
①個別相談・支援
医療のことは病院に、介護保険のことは地域包括支援センターやケアマネになど、福祉分野は基本的に"餅は餅屋に"相談となっているものが多いです。
しかし、社協は公的機関でもありますので、窓口には多種多様な相談が寄せられます。
その相談への対応は、大きく2つに分かれます。
1つ目は、社協では解決できない相談の場合。
この場合は、その方を適切な機関につなぐことを目指します。
2つ目は、社協事業で対応できる相談の場合。
社協が行っている事業として多いのは次のようなものです。
○日常生活自立支援事業
…認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が低下した方に対し、福祉サービスの利用援助(手続きなど)、金銭管理サービスなどを行う。
○生活福祉資金貸付制度
…低所得、高齢、障がい世帯などに対して、貸付を行う制度。
○ボランティアコーディネート
…ボランティアをしてほしい人としたい人をマッチングする事業。
○生活困窮者自立支援事業
…困窮者の自立に向けて、就労支援や家計改善などを一体的に行う。
○ファミリーサポートセンター
…子育てを応援したい方と応援してほしい方をボランティアマッチング。
これらをベースに、関係機関と連携しながら支援を行います。
②地域支援活動
社協職員がコミュニティソーシャルワーカーと呼ばれる所以の活動です。
ひとことに地域支援といっても多種多様なものがあります。
例えば小学校区ごとなどで作られる住民の有志団体である地区社会福祉協議会の支援があります。
地区社協は、高齢者サロンや世代間交流事業など、人々が交流を深めることができる活動を推進しています。
社協職員は、その活動に対して助言や補助金の使用、他地域の事例紹介、活動継続のお手伝いなどを行なっています。
他にも子ども食堂やボランティアグループの立ち上げ支援、企業ボランティアの推進などもあります。
③地域の実態把握
社協職員は、地区社協や民生委員などと協力して地域福祉を推進しています。
そこから得られる情報はとても貴重ですし、職員自身も自分の足で地域まわりをしながら、実態の把握をしています。
具体的には、相談内容から分析される課題、地域の人が主観的に感じている課題、人口や地域性、交通、社会資源などが挙げられます。
最近では、広域災害が起こった際に社協が運営する災害ボランティアセンターにおいて、被災状況を地域住民から調査することも増えてきています。
④住民の福祉意識の醸成
福祉意識の醸成の例は、小学生を対象とした福祉教育です。
1番多いのは、車椅子体験です。
実際に車椅子に乗ったり、介助する経験を通して、福祉を考える機会を提供しています。
その他にも、住民のボランティア参加支援や、講座の開催、地域活動の啓発なども行っています。
⑤地域のネットワークづくり
ボランティア同士をつなげたり、事業者同士をつなげたりしながら、意見交換やネットワークづくりを進めています。
当事者同士や、家族介護者同士、世代を超えた仲間作りなど、多種多様なネットワークを作っています。
まとめ
①個別相談・支援
②地域支援活動
③地域の実態把握
④住民の福祉意識の醸成
⑤地域のネットワークづくり
以上について簡単に触れてきました。
この記事ではそれぞれを詳細に説明するというよりは、コミュニティソーシャルワーカーの視点から、社協の仕事の全体像を伝えることに重きを置きました。
社協は謎多き組織かもしれませんが、意外とみなさんの身近なところで仕事をしています。
今後もコミュニティソーシャルワーカー以外のところも含めて、社協について特集する記事を出していきます。