脱炭素でガソリン価格高騰
「ガソリン過去最高値にJAFが怒りの声明「185円のうち70円が税金」上乗せ&二重課税の解説に集まる「いいね」」
(SmartFLASH)
ガソリンや軽油といった燃料に対する二重課税は有名なハナシである。
燃料価格の高騰は自動車ユーザだけが不利益を被るのでは無い。電力などのインフラ価格高騰、物流コストの増大など、影響は多岐に渡り、巡り巡って日本人全てにのし掛かる。
勿論、税制の最適化は必要である。
必要なのだが、どのメディアも全く同じ論調で二重課税を批判し、トリガー条項がどうのと騒ぐ様を見て、我々はある一つの知識を活用しなければならない。
以前の投稿で以下の様な事を書いた。
左翼メディアとは、殆ど全ての報道機関を指す。
そいつらが全く同じ論調で燃料価格高騰と二重課税を批判し、トリガー条項を発動せよと報じる。
「ある知識」とは、左翼メディアが論調を等しくした場合の対応である。即ち、「何かあるぞ!」という事に他ならない。
断っておくが、燃料への二重課税を是とするつもりは一切無い。税制の正常化は 1 ms (千分の一秒 ※補足①)でも早く行われなければならない。
では、私は何を言いたいのか。
それは、単に税制への批判をするだけでは問題の本質を見失うぞという事、左翼メディアの目的は税制の批判に託けた政権批判と、衆目の目から問題の本質を遠避ける為である事、これらを理解すべしという警鐘である。
JAFが出してきた数値を引用した記事から抜粋してみる。
ガソリン自体の価格「114.9円」だが、そもそも何故こんなに高いのか。
ここまで上がった理由は何か。少し古いデータになるが、資源エネルギー庁が公表している2021年10月26日の報告を例にとってみる。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/040_03_02.pdf
先ず、世界の一次エネルギー消費量である。
武漢コロナウイルス祭り開催に伴って2020年は前年比で減少しているが、一次エネルギー消費量は数年単位で右肩上がりとなっている。
また、天然ガスの比率が増え、石油と石炭は比率を減らし、再生可能エネルギーは増加している。
次に、石油開発への投資額を見てみる。
2020年から2021年に掛けて微小に持ち直してはいるが、2010年辺りから見ると惨憺たるものである。
武漢コロナウイルスの所為にしているが、減少傾向はそれ以前からという部分に注目しなければならない。
次はこれである。
どこも本音は別として、「脱炭素に邁進する」と言っている。
詰まり、世界的に一次エネルギーの需要は増加しているが、化石燃料に頼るのは許さんという事である。
続いて、一次エネルギーの価格を見てみる。
先ず、LNGはどうか。
補足しておくと、原発全停止をやらかしたドイツなどは、石炭や石油はダメでも天然ガスはOKだそうな。何処が「脱炭素」なのだかサッパリ分からないが、そこは石炭や石油よりもCO2排出量が少ないという部分を持ち出して、何やらクチャクチャっとやってOKらしい。
という事で、「石炭や石油から天然ガスへ」という潮流が発生し、変な形で需要が増えて価格が高騰している。(※補足②)
では、次に石炭である。
石炭離れが進んでいる訳だが、石炭の価格が下がっているかというと、そういう訳では無い。
因みにリンク先の資料では、価格上昇の理由としてコロナがどうとか事故がどうのと、クソどうでも良い理由ばかり書かれており、主たる要因がゴッソリと削られていてズッコケそうになる。
読む場合は注意して頂きたい。
そして、石油である。
石炭同様、武漢コロナ祭り開催に伴っての下落は見られるが、基本的に右肩上がりとなっている。
グラフの作り方が巧妙だからなのか、全体的な上昇勾配は“徐々に”という風に見えるし、文言でも「上昇傾向」という穏やかな表現に終始しているが、これはプロパガンダにおける最も初歩的な手法である。
実際に数値を見ると、
2016年当時:30 ドル(1バレル当たり)
2021年当時:80 ドル(1バレル当たり)
爆上がりである。
ガソリン価格高騰の主たる要因は、単に原材料が高騰したからという、それだけの事に過ぎない。二重課税はあくまで枝葉である。
石油開発投資額は減っており、需要が増えているにも関わらず減産している。これで価格が高騰しない方がおかしい。
何故にガソリン価格が高騰しているのか。それは、原材料の石油価格が高騰しているからである。
何故に石油価格が高騰しているのか。それは、需要が増えているにも関わらず、減産されているからである。
何故に需要増なのに減産するのか。それは、そもそも採掘開発への投資額が激減しているからである。
何故に石油開発投資額が激減しているのか。それは、脱炭素の圧力によって石油が目の敵にされているからであった。
化石燃料は社会に経済成長を齎した。
その恩恵は一部の支配階級に止まらず、広く一般大衆にまで及んだ。
格差は拡大したが、それは貧しき者が更に貧しくなったのでは無い。貧しき者の多くが貧困から脱し、成功者は莫大な富を得られる様になったという事である。
支配階級が提供する低質な教育、医療、福祉では無く、自費で民間の良質な教育、医療、福祉を受ける。結果、一般大衆にまで高度な知識が及び、より健康的且つ安定的な人生が齎される。
その様な状況を嫌うのが、左翼や全体主義者である。
奴等は一般大衆から搾取し、自分達の努力無しに富を得たい。それには、一般大衆に“過度な”自活能力が備わっていると都合が悪い。
「化石燃料がその様な状況を齎すのであれば、それの使用を制限してしまえば良い。」
この様な目論見の元に考案されたのが、人為的に排出されるCO2を悪とする思想である。
再生可能エネルギー等、この思想によって副産物的に発生した利権を啜る不道徳者が大量発生しているが、それは枝葉の問題である。
例えば、太陽光発電事業者の思惑通りに化石燃料が禁止されれば、その事業に主体的に携わる者達は富を謳歌出来るか?
いや、それは不可能である。
何故なら、現状で人類は化石燃料の恩恵無しに社会を維持出来ない。その様な状況になればナニ事業者だろうが関係無い。エネルギーの使用を大幅に制限され、所得は激減し、大幅に生活水準を下げねばならない。子供一人養えなくなるどころか、自分自身も虫を捕まえて食う様な生活を強いられるであろう。
政府の補助に期待しても無駄である。経済が大幅に縮小している訳だから、税収もたかが知れている。到底満足な補助など出来る筈が無い。
ガソリン価格高騰の主たる要因は、脱炭素である。
二重課税など元々存在していた問題な訳で、この度の価格高騰騒ぎが起きていなかった頃は、それでも何とかやって来たのである。
税制の正常化は必須だが、根本要因たる脱炭素の破棄無くして減税だけすれば、単に税収が減るだけに過ぎない。脱炭素が継続されている以上、そちらの利権は生き続ける訳だから、削られるのはそれ以外である。
政府の主たる仕事とは、国防、治安維持、公共インフラ整備であるが、こういった事業が縮小される事になる。
国民(強制)健康保険制度や国民(強制)年金制度、(政府の学校による)教育に関しても、無くすどころか「醜悪なもの」という認識すら浸透していないという為体。当分の間は税金で補填するしか無いが、これらが削られるかもしれない。
少なくとも、二重課税の是正は二の次。最優先は脱・脱炭素である。
まして、トリガー条項などと悠長な事を言っている場合では無い。
※補足①:千分の一秒
以前、全ての補助金政策は百万分の一秒でも早く撤廃しなければならないと書いた。
それに対し、税制の正常化は「千分の一秒」である。
これは何も、その場の勢いで書いた結果では無い。補助金政策撤廃と税制の正常化は明確な優先順位があり、燃料への二重課税よりも補助金政策の方がより有害だという事実を反映したものである。
※補足②:天然ガスの需要増とロシア
ロシアがウクライナへ出掛ける事が出来た理由の一端、それに「天然ガスの需要増」が含まれるのは間違いあるまい。