【短編哲学小説】窓の外の身体
身体は窓の外にあった。
窓しかない部屋は身体だった。
身体は移動する。
どこを?
窓の外を。
しかし、身体に窓はついてきた。
身体はある何かをそのまま見たと思ったら、その何かに窓枠を当てて、窓越しに見た。
窓越しに何かを見る度、部屋の中にいた。
歓びは窓の外にあった。
窓の外には何もなく、すべてがあった。
他の身体とも触れあうことは何よりも良かった。
しかし、他の身体も窓越しに見ると、もう触れあうことはできなかった。
窓越しに見た身体は物に過ぎなかった。
愛するがゆえに窓枠を当て、それを殺した。
窓は要らないと思った。
しかし、窓のない部屋はなかった。