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【短編小説】2151

 俺は唖の美しい女が発する不気味な音に耐えきれず走る様にして逃げ出した。
 それは機械を擦り合わせるよりは肉体的だが、生物的とは言えない音だった。
 とても不愉快だった。
 夕方の空に見る青と橙のグラデーションよりも不愉快で、いくら走っても逃げ切れないのはまるでその空の下にいるような感覚に陥る。


 世界は平等だ。
 白く美しい唖の女。
 その女が発する醜い音。
 枕が必要になるかどうかも考える必要がなかった。もしくは俺に鼓膜が必要ないのかも知れない。
 肉体の為に肉体を必要としなくなるのであれば、と言いかけて立ち止まる。
 俺には貯金もコンドームも無い。

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