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【短編小説】お嬢さん方、詩人と付き合いなさい

 アローアロー、聞こえるかい。
 そうかい、それは良かった。
 駅前の喫煙所に立っていると、どこから見ても破壊された男が嗤いながら遠い昔の彼自身が持つ記憶と通信をしていた。
 俺は頭の中で昔に観たヤクザ映画のメロディーを流しながらアルミフォイルの代わりにする。
 俺も破壊されない為だよ、と短くなった煙草を銀色の箱に落とす。


 彼がどうして破壊されたのかを俺は知らない。
 もしかしたら元から壊れていたのかも知れないし、逆に俺だけが壊れていないのかも知れない。
 例えば高速道路をみんなが逆走しているみたいに。
 もしくはみんなが落下していくのを見ているような感覚。
 アローアロー、聞こえているかい。労働コーリング、労働コーリング。

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