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Re: 【超超短編小説】煮沸消罪

 換気扇がキリキリと音を立てて回っている。
 そろそろ油を差さないと、なんて考えながら煙草をの煙が吸い込まれていくのを見ていた。
 いい加減に換気扇のフィルターだって交換しなきゃならない。
 これが済んだらにしよう。


 ぐつぐつと音を立てる巨大な寸胴の中にうずくまる君を見る。
 ぐらぐらと煮立っているお湯は黒く汚れていて、つまり君が綺麗になっていっているのがわかる。

 君は、とても汚れていたんだね。

 浣腸をしたって、ハイターをしたって君は綺麗にならなかった。
 胎内巡りも坐禅も君を綺麗にしなかった。
 でもこれで君は綺麗になった。
 沸騰したお湯に溶けていく君の汚れや穢れ、罪だとかが見える。
 君が綺麗になったら、換気扇のフィルターを交換しよう。君は喜んでくれるかな。わたしはとても嬉しいの。
 だからもう二度と、二人で入ってるお風呂のお湯で煙草を消したりしないでね。

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にじむラ
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