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【小説】嗤ってBABY黄色い煙草の鳩は飛ばず
写真のデータを確認していると妙な事に気づいた。
一見すると何の変哲もない集合写真だが、生徒たちが全員同じ表情をしている。現場にいた時は全員が両手でピースをしている様に思い、個性だとか同調圧力だとかくだらない事について考えそうになった。
しかし今こうして画像データを確認してみるとそうでは無かった。
どのクラスの生徒も同じように両手でピースをして奇妙な表情を作っている写真が一枚はあった。
生徒たちの間での流行なのだろうか。
煙草に火をつけて少し考えた後、担当の教員に複数のデータを添付して「生徒たちの意見を尊重したいが真顔と奇妙な表情とどちらが良いか」と言う旨のメールを送った。
根本まで吸った煙草を灰皿に押し当てて、椅子にかけてあったジャージを羽織り外に出た。
冬とは言え昼下がりはまだ暖かく、夕方になる前に買い出しに出て正解だったなと思った。
スーパーでカゴに必要なものを詰めてレジに並んでいると、自分の前に並んだ幼い少女が米袋を抱えていた。
まるで小さな弟か妹を抱っこするかのように幾度となく抱え直す仕草に可愛らしさを覚えた。
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