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【小説】ユナイテッドステイツオブオニギリ

 サスペンションの伸びきったバスに揺られてリトルトーキョーに着いたのは昼前だった。
 横柄な態度の運転手はぼくが降りるなり乱雑にドアを閉めてやたらと煙を撒き散らしながらガタガタと揺れるバスを走らせていった。
 その後ろ姿をしばらく見送ってから街の中へと入っていくが、今までにこんなにも緊張した事はあっただろうかと思う。

 日本軍の誇る超長距離爆撃機「富嶽」によって破壊された大都市の中、西海岸から始まった復興はそれでもまだ僅かに進んだばかりだった。
 焼け焦げた廃墟にテントを張って雨露を凌いでいる状態のひとも多い。
「占領軍の奴ら、地震が無い国の建物はまるで小屋の様だなと笑いながらポーチで細長い魚を焼いていた」
 と言ってダァッドは泣いた。

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