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【短編小説】星に願いを
面倒くさそうに立ち上がり、ハンガーに掛けたコートを持って出る同僚の背中をぼんやりと眺めていた。
同僚が出て行った部屋はたった一人分でもやたら大きな空間が開いた様な気がした。
デスクに向き直ってモニターを注視する。
グラフを睨みながらスイッチャーを操作して星を流す。
脳内で警報が鳴り始める。
これ以上は危険かも知れない。
だが流す本数は少ない方がいい。
俺はそこからさ3秒ほど粘ってからスイッチャーを戻す。
モニターには「目撃者数2、被願掛数1、被達成度0」と表示された。オーケー、ひとまずは大丈夫だ。
俺は椅子に背中をあずけて大きく伸びた。
同僚は願掛けをした目撃者の願いを叶えに出かけた。
しばらくは俺ひとりだ。俺までここを開ける訳にはいかない。
流す星のノルマを達成できなくなってしまうし、次のボーナスに影響する。
修理工場に預けた単車はエンジンが割れたとかで、パーツの削り出しをするって話だから少しでも金が欲しい。できれば俺が星に願いを掛けたいところだ。
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