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【短編小説】一夜明け会見

 明るい灰色のスーツを着た眼鏡男が革靴を鳴らしながら前に歩み出た。
 眼鏡男は携えたマイクを指で軽く叩いて確認すると、おもむろに
「これより第35代Jrヘヴィー級世界文芸タッグリーグ王座決定戦優勝記念、一夜明け会見を行います」
 と厳かな声で言った。

 パイプ椅子に座った記者たちが一斉にキーボードを叩く音がした。
 眼鏡男がマイクを下げて頭を向けた先にあるドアが開き、疲れた表情の男たちが二人足を引きずるようにして出てきた。
 フラッシュが焚かれる中、二人は記者たちに手を振るでもなく陰鬱な表情で正面の会見席に座った。

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