【短編小説】シトロエンDS21 OR キャデラックエルドラド
未来と言うものは唐突に終わる。
彼はそう言って笑うとグラスに入った緑色の酒(コカレロとか言うやつだ)を飲み干すと、眉間に皺を寄せて渋い顔を作って見せた。
そして煙草を咥えると「これは緩慢な自殺だな」と言って少し笑った。
その笑顔すら神経を逆なでする。
私は苛立ちを押し潰すように、皿の上でだらしなく散らばった軟骨の唐揚げを箸でつまんで口に放り込んだが、それは単なる油の塊だった。
古い油の苦味だけが口に広がった。
これも一種の弛緩した自殺なのかなと思った。
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