【短編小説】乾涸びた熱帯魚
全く馬鹿げているとは思うが、ピアスと言う肉体的な傷の他に何かを遺したいと思うならその精神を深く傷つける他に無いだろう。
傷はいずれ塞がる。
イカ焼きは要らない。それはビーナス像の欠けた腕にはならない。
そう、ピアスを開けたんだ。その耳に。俺の記憶が確かならな。
保冷剤で冷やした耳に「行くよ」と声をかけて針を徹した。肉体の鮮明さに驚いた。皮膚は曖昧だ。肌を何度重ねたところで何もわからないのは当たり前だ。それは肉じゃない。
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