【短編小説】生と死の線路
陽子は口から血を垂らすと、その赤い筋は粘り気のある糸を引いて敷石の上に垂れた。
口から垂れたその赤い糸を見ているのか、陽子の目は残月を孕んだ水饅頭の様に厭な鈍光を放っていた。
「ほら、花が咲いてるだろう」
ハルオは叫ぶようにして言った。
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「高層ビルの屋上からションベンしたい!」
ジッパーからイチモツを取り出したハルオは走り回りながら小便を撒き散らした。いまだ昼間の熱気を抱いたままの鬱屈したアスファルトにシミができる。
奇声を上げながら小便を撒き散らすハルオを見てギョッとした通行人たちが道を空けるので、ハルオはその隙間を縫うようにして走り回っていた。
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