【超超短編小説】毛
便器の目の前で自分の逸物を取り出し、余分な包皮を剥いた時に、一本の長い毛が伸びているのに気づいた。
往生際の悪い陰毛が入り込んでしまう事は少なくない。
俺はその毛に指を伸ばして摘んだ。
その時、幼い頃に聞いた怪談をふと思い出した。
怪談と言うよりは都市伝説の様なものだが、簡単に言うと「耳から出ている白い糸を引っ張り続けたら失明した」と言うものだ。
耳のそんな位置に視神経が通っているはずが無いのだから笑い話だ。
しかしあの頃はそれを信じていたし、耳から白い糸が出るのが怖かった時期がある。
何故かそんな事を思い出した。
自分の陰茎から出た毛を摘んだ瞬間に、だ。
もしかしたら、この毛を引くと勃起不全になったり、または陰茎そのものが取れたり、悪夢から醒めたりするんじゃなかろうか。
そんな馬鹿な事があってたまるか、と言う思いと絶対に無いとは言い切れない恐怖が、ひとしずくの汗となって背中を落ちて行った。
「馬鹿馬鹿しい」
わざと声に出して毛を引くと、陰茎に対して螺旋状に絡みついていた長い毛は俺の陰茎を輪切りにするとそのまま便器の中へと落ちて行った。
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