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Re: 【超超短編小説】膣即死

 水を張った鍋を火にかけると中にいた猫が目を覚ましてしまった。
 ちくしょう!あのババアの店はいつもそうだ。ちゃんと〆てあった試しが無い。
 ウンザリして仰いだ空は寸胴でも被せたみたいな鈍色をしていて、おまけに町内のスピーカーからは仰げば光か、蛍の尊死だかが流れており、自分はここまでなのだと否応なく自覚させられる。

 結局は俺に救いなど訪れなかった。

 甲州街道の笹塚手前あたりでジジイの運転するプリウスアルファに強引な車線変更で割り込まれた時に俺が鳴らしたバイクのホーンによって引き裂かれた新築狭小タワマン低層階住人の苦い悪夢から目覚める3秒前に全ては決まっていた。
 その結果として俺はデトロイト市警と埼玉県警に追われる身となってしまったんだ。
 回り続ける換気扇に今も鳴り続けるインターホンの音が飲み込まれては出て行き折り返してまた飲まれる。
 イカ焼きの腕はエッシャーよりも延々と続く梯子になっても天国までは届かない。

 色白スレンダー隠れ秘密巨乳ショートヘア眼鏡。
 かつて同級生たちが一駅毎に降りていった電車で最後まで残っている時の空気が鼻の奥で揺れる。
 小麦色の肌と白いポロシャツとチェック柄スカートのラクロススティックスクールガールが向かいの席で俺を見ている。
 俺はあの日の電車から降りられずにいるままで終わらない夢を見ている。
 仰げば尊死。
 蛍の光。
 弱々しく彷徨い闇に飲まれて死ぬ。
 いいか?今夜7時にテレビで公共放送のチャンネルを見ろ。そこに冨嶽・ツァーリボンバ・百景と言う小説が映る。その時に俺は……。

「どこにいくの」
「仕事だよ」

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にじむラ
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