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それは3月にしてはとても寒い日だった。 男は整骨院の裏で煙草を吸っていた。名をカラフル…
それはわざわざ大阪から東京までラーメンを喰う為に遊びに来た友人を見送って、男が長いエス…
俺は電話をしながら走っている。 相手が何を言ってるか聞こえない。街の中は雑音が多過ぎ…
死ねばいいのにな、とお互いが口の中でもごもごと呪詛を吐く。 少なくとも東京と言う街は…
男はズボンに手を入れて陰茎のポジションを執拗に直しながら「俺の携帯はどこだ」と繰り返し…
個室サウナと言うものがある。 電話ボックスほどの個人サウナとは違う、個室サウナだ。大…
電車がカーブにさしかかって大きく揺れる。 横長に伸びた座席の端にある鉄パイプの手すりに身体が軽く押し付けられるのを感じた。 昼過ぎの電車は混雑とは程遠く、穏やかな光が窓ガラスから差し込んでいた。 しかし空いていた俺の隣に知らない女が座ったので舌打ちをして座席を立った。 鉄道会社が客に座ってもらう為に取り付けた座席を、だ。 理由はひとつ、シンプルだ。 世界はクソで埋め尽くされている。
「え?みなさん毎週夢精しないんですか?」 椅子に画鋲を置かれる対策としてケツに鉄板を仕…
30年前に死んだ祖父が来ていた紺色のコートを着て行ったが、思ったより暖かいので少し参って…
実家にある自分の部屋には、高校生の時に使っていたものが飾ってあった。 作りかけのプラ…
湯舟から抜けていくお湯だった冷水を眺めていると湯舟の下から歯ブラシが出てきた。 恐ら…
左半身が死んでいる。 正確には死につつある。一昨年は左わき腹の肋骨を折ったし、左耳の…
猫と爬虫類の中間みたいな目をした女医が俺の脇腹から糸を抜いた。 この人はスポーツカー…
歯止めの効かない奈落を転げ落ちていく様だなと思う。 または突起の無いビルディングが俺の周囲を猛スピードで上昇していくのを眺めているかのどちらかだ。 いずれにせよ俺の人生はクソったれていると言う事は疑う余地も無く満場一致で採択される。 大丈夫だよ、それは単なる妄想だ。 「どこいくと」 女が言う。 赤子が猫や軟体動物の様に身を捩って乳母車からすり抜ける。 裸足の赤子はまっすぐ交差点に走っていく。救急車のサイレン。 俺はエンストを起こしたバイクをキックする。咳き込