ヨガって一体なんですか 〜 ヨガに関する疑問とカン違いを克服する超ざっくりなヨガの歴史入門(興味ある人向け)
「ヨガって知ってる?」
そんな風に尋ねられて「知らない」と答える日本人はすでにかなりの少数派なのではないでしょうか。そのくらいヨガという名称はすでに一般的です。
じゃあ「ヨガって何か知ってる?」という問いではどうでしょう。
「きれいなモデルさんがやってる運動みたいなのでしょ」「女性がよく習っているよね」「身体が硬いとできないんでしょ」「野菜食べない人とか多いよね」「スピリチュアル?」
答える方も疑問系になってて、間違いではないもののピンと来てないが故の「印象」が語られることが多いのではないでしょうか。印象とは飽くまで受けてが持てる情報を通じて導き出すものです。本来の定義とは大きく違い、そこには思い込みやバイアスがどうしても含まれがち。
ヨガの長すぎる歴史と多くのスタイル、情報が複雑すぎてそこそこ長くやっている人も、スッキリとは答えられないこともあるのが、実はこの質問。そういったことをもやもやと考える過程もとても大切ですが、歴史について少し知っておくと知識が思考の整理を助けてくれるでしょう。
この記事では、ヨガに関する歴史をざっくりと紐解きながら、ヨガに関する誤解や思い込みにもアプローチします。そして、あなた自身の「ヨガとは」という問いをさらに深めていただく助けになれば幸いです。
ヨガにまつわるイメージ5選
「きれいなモデルさんがやってるアレ!」
「女性のメジャーな習いごと」
「身体が硬いとできないんでしょ」
「野菜食べない人とか多いよね」
「スピリチュアル?」
あるあるでしょ? じゃ、1つずつ検証していきましょう!
①きれいなモデルさんがやってるワークアウトでしょ?
確かにモデルさんがやってるイメージありますよね!
また、モデル出身、あるいはモデルをやりながらインストラクター業をされている方も。それにメディアで見るヨガインストラクターさんは、現役モデルや元モデル、そうではないのが不思議なほどおきれいな方も。
でもスタジオに行けば色んな人がいます。先生も、生徒さんも一般の方が最も多いわけです。モデルさんしか来なかったらスタジオ自体もっと少ないですから~。
つまりモデルさんでもヨガをする人もいるし、しない人もいるし、ヨガ人口はモデル以外が支えているというのが事実だと言えるでしょう。
でも実際、ヨガを始めたことで見た目に変化がある方も多いと思います。もしヨガをしている人がルックスの上で素敵な人が多いというイメージであれば、それは嬉しい(そして超プレッシャーな)ことです。でも、それは最初からではなくて少しずつ、時間をかけて得たものであることがほとんど。
気がつけば素敵になっている……なんか良いじゃないですか。「いや~私みたいな普通の人がヨガをやるなんて…」とは言わないで、ヨガは誰もができることを、ぜひこの記事を最後まで読んで知って欲しいな。
②ヨガは女性のもの、というイメージ
確かに、ヨガスタジオの利用者の多くが女性です。
でも、もちろんヨガは女性だけのものではありません。というよりも、実はヨガの歴史を紐解くと、その歴史のほとんどの期間、ヨガは男性だけが実践してきた過去があります。
ヨガは4世紀頃のインドで成立しました(ちょっと前までは紀元前とも言われていましたが現在では否定されています)。10-13世紀には身体を動かすハタヨガも成立しますが、実はハタヨガ成立前も後も、実はアーサナ(ヨガのポーズ)の実践はそれほど主流ではなく、ヨガの修行といえば瞑想、そして苦行(!)だった時期がほとんどです。
それを打ち破ったのはヴィヴェーカナンダ師。19世紀末に欧米にヨガが紹介され、20世紀にはアーサナの復興が起こります。そしてイギリス軍の体操や女性向けの体操など西洋の身体文化と融合し、現在のハタヨガが生まれました。
4世紀から20世紀、超長いこと男性のものだったヨガが、ようやく女性にも門戸が開かれたわけです。しかも美容体操と組み合わせるなど、一気に女性との関わりが深くなります。
さらに時は流れ、Y2K前後のヨガブームに至り、さらにさらに20年ほど経て、ヨガスタジオでも男性をチラホラお見かけするようになりましたね。特にスポーツジムでは半数近くが男性というクラスも珍しくないと聞きます。
まあ…だからなんだっつーわけですが、男性のヨガ実践者さんもぜひ、心身のトレーニングとして堂々とヨガをやって欲しいなと思うのでした。
スヴァーハヨガではスペースの都合で男性更衣室およびお手洗いの用意がありませんが、お着替え用のパーテーションを用意しています。お気軽にご受講くださいね。
③身体が柔らかくないとやっちゃいけない?
ヨガの最初の実践は瞑想だということは先に述べました。瞑想して身体が柔らかくなるかというと…ちょっと違いそうですよね。ここでヨガが成立した目的は柔軟性ではなかったことが薄々わかってきます。
だから柔らかくないとやっちゃダメなんてことは全くなく、むしろ、アーサナをとることは、適切な練習量があれば、足りない筋力を補い、柔軟性を高めてくれるから、肩こりや腰痛など、硬さ由来の悩みがある方にはオススメです。
むしろ、身体が硬いことってむしろクーポンでもあるのです。このことを理解するために少し歴史的なことにも触れておきましょう。
まず、ヨガというメソッドは心の平安を求めて出来たものでした。その実践方法・瞑想は心を研ぎ澄ませたり、あえて鈍感にしたりしながら「気づき」を得る心のトレーニングです。
しかし座ってるだけなのでいかんせんヒマだったはず…いや心が鍛えられていたらヒマじゃないんでしょうけど、最初から鍛えられてるならトレーニングそもそもいらんわけで…プラクティスっつーのはそういう人のためにあるの(力説)!!
瞑想以外の方法として、浄化法や呼吸法、印相(仏像などで見られる手指を使って示すジェスチャー)、そしてアーサナなど肉体という最も近しいツールを使う実践方法が生まれたのは自然なことだったのでしょう。
アーサナという日常生活にはない不自然なポーズをすれば、否が応でも筋肉や関節の違和感を通じて、今の身体の状態に気づきます。そして同時に心の動きにも気付かされてしまう経験をする人も多いでしょう。
最近では様々な研究によって瞑想は心理面や脳への好影響が知られるようになりましたが、アーサナは心、脳、そして身体にも大きく効果をもたらします。
身体が硬ければアーサナによる身体の違和感は大きくなりますが、その分、気づきもパワフル。なぜ「身体の硬さはクーポン」なのか、もうお分かりなのではないでしょうか。
まずは、それが恥ずかしいという気持ちを捨てて遊びに来てください。その時点ですでに心はひとつ成長しています。そして、続けていれば多少の差はあれ、どうせ勝手に身体も柔らかくなってしまうものですから(笑)
SVAHA YOGAでは、すべてのレギュラークラスを初心者の方に開いていますが、 より効果的に柔軟性を高めたいと考えていらっしゃる方に向けたクラスも開催しています。よかったら来てね。
④ヨガを深めるには肉食はNG?
これは人によります。食べない人もいるし、食べる人もいる。でも本当に厳格なヴィーガンという人は多くはありません。
必須アミノ酸の摂取は動物性タンパク質なしではなかなか必要量が取れませんし、人によって腸にいる菌が違ったり、消化も代謝には個人差があります。これらを踏まえると、ヨガをやっているからと言って無理な菜食を敢行するのはナンセンスです。
余談ですが、母乳も飲まなくて豆乳を授乳されていた(本人は記憶なし)という方に会ったことがあります。やっぱり体質もあるのだなと感じた一件です。そしてこの人はヨガの先生ではないのでありました。
ヨガ=菜食主義というイメージは、インドにおける菜食主義者の割合の多さに起因するかもしれません。3~4割とも言われています。南インド料理はヴェジメニューが多いですが、古くからの習慣なので、身体がある程度適応できている人も多いのかもしれません。
思想的な背景はアヒムサ(非暴力)。殺生を禁戒とするのは、ヒンズー教やジャイナ教、仏教にも共通しています。
しかし、東洋だけに止まらず古代ギリシャのピタゴラスが菜食主義者であったとか、カトリック修道士は決まった曜日にしか食肉ができなかった等、動物を殺すこと対する罪悪感はいつの時代も人間に備わっていたのかもしれないと思わされる逸話がたくさんあります。
だから、食べないで良いなら食べない選択をしたいけれど、自分の身体が適応できないならば、必要な分を無駄なくありがたくいただくのが良いのではないでしょうか。
全部をやめなくても必要な量はどのくらいかなと考えてみるのも大切かもしれません。肉だろうが野菜だろうが、フードロスがなくなるのは良いことです。そして、自分を痛めつける食事は、結局アヒムサにも反するのではないでしょうか。
⑤ヨガはスピリチュアルや宗教と関係ある?
ヨガの成立時期は4世紀頃。そんな古い時代に成立したヨガは、自然界の法則とは別の世界観の中で成立してきたものです。
科学以前の時代の文化は、洋の東西を問わず基本的には宗教がベース。神さまに祈ること、何かを信じること、崇拝する対象の一部を常に感じられることなどは、心の平安や安らぎを求めてのことでした。
現代のわたし達だって、推しのことを思い出して心が安らぐ人もいるでしょうし、節目や苦しい時には神頼みをすることがありますよね。
神秘的なエッセンスを好む人にとって、ヨガに限らず、古代の文化は魅力的なはずです。オカルティックなことが好きな人と、ヨガの愛好家が重なっていたとしても不思議ではありません。
ちょっと押さえておきたいのは、瞑想や呼吸法、アーサナなどを含むヨガというメソッドは、ヒンズー教や仏教など、複数の宗教で採用されてきた事実。
さらにヨガはより異なるベースの信仰を持つ人や、信仰を持たない多くにも、多くの実践者・愛好家を広げています。これはつまり、安らぎを得るということに関して、ヨガが一定の効果を出してきたからこその結果と言えるでしょう。
信仰と実践は切り離せると私は考えます。ましてや単なる趣味の超自然ならなおさらでしょう。趣味だもん!
肉食についても同様ですが、もしもヨガを行っていて信仰を強制されたりしたら、必ずこのことを思い出してほしい。
わたし自身はスピリチュアルな物事にあまり興味がないのですが、石にも植物にもパワーはあると思うし、良い気を持つ人とお付き合いしていきたいなとは思っています。そして、ここに来たら何となくエネルギーがもらえる、そんな空間にスタジオを育ててゆけたらいいなと思っています。
最後に〜ヨガはわかりにくい、でもみんなに開かれている
ここまで、ヨガに関する「印象」と、実際のギャップについて書いてきました。
ヨガを実践する者、シェアする側の人間として、その誤解や偏見を解くとともに、自分が知らない何かについても、敬意を持ち、ニュートラルに接していこうと改めて思いを新たにしています。
それでも、知名度の高さに対して、実態がイマイチわからないのがヨガ…
でもあるんですよね~。
訳のわからなさが魅力、そういう意味では神秘的。でもやってみたらきっと「何か」が掴める…それがヨガなのだと思います。
ヨガって結局何なのよ~という方、ぜひ一度ご体験くださいね!
SVAHA YOGA well-being studio
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