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クロアチアの、史上サイテーお下劣反戦ロックショウ。

いやぁ、凄いですね~、史上サイテーの反戦ロックショウですね~、「狂った時代を生き延びるにはおれたちも負けないくらい狂わなくちゃな、さぁ、すべてを笑い飛ばそうぜ」っていうフィロソフィーですね。いやね、クロアチアのお下劣ロックバンドLet3のMama ŠČ! という曲の話なんだ。


EU放送協会が毎年主催しているEurovision Song Contestっていうテレビ番組用イベントがあって、これはむかしむかしのサンレモ音楽祭を継承しつつ長年やっている由緒正しいヨーロッパの音楽イベントです。もっともけっしてぼくは毎年フォロウしているわけじゃないんだけど、近年世界がきなくさいのでつい気になってしまう。去年2022年はウクライナのラップグループ、Kalush Orchestra の”Stefania”という曲が優勝した。今年2023年は誰が獲るかしらん? それはまだ誰にもわからないけれど、クロアチア代表に選ばれたのがこの人たちのこの曲なんだ。いやぁ、凄いですね、この炸裂するお下劣な悪ふざけ。たしかにロックは本質的にきてれつ底抜け芸能でかつまたサタデーナイトの乱痴気騒ぎではあって、Devoにせよ、Talking Heads にせよ、かの知性派 Frank Zappaにせよ、そこはちゃんと押さえてたもの。だから、ぼくだっていまさら驚きゃしないけど、しかそれにしても、これをげらげら笑って愉しめるEUのお笑いセンスも凄いね。ちょっとあなたもご鑑賞なさってくださいな。

ステージのショウアップの仕方が雄弁でしょ。歌詞はざっとこんな感じ。「ママはトラクターを買ったんだ。ママはトラクターを買ったんだ。あのちっちゃなサイコパス。ワニのサイコパス。ママはあのバカにキスしてた。ママはあのバカにキスしてた。ハルマゲドンのな。」聴き手は誰だって理解する、そのトラクターっキャタピラがついていて火砲の筒が突き出してるやつでしょ。あのちっちゃなサイコパスってもしかして、Rからはじまる国の政権担当者でしょ。地球がハルマゲドンぶっ壊れた後で、「ŠČ」の文字が書かれたロケットが地球に落ちてくる??? このブラックジョークも、どこかクロアチアの政治的主張と関連しているようにおもえなくもない。



おもえばクロアチアはNATOに加盟して、念願叶ってEUにも入った。しかも一説にはいまやクロアチアはヨーロッパ南東部のリーダーであり、この国の政治状況が地域のダイナミクスに大きな影響を与えていると目されてさえいる。たとえば、クロアチアのミラノビッチ Milanović 大統領はきわめて現実主義者で、ウクライナ問題に対して以下のような見解を述べている。「われわれクロアチアはウクライナに軍事支援することに反対だ。2014年ロシアはクリミアを併合した。クリミアはもはや二度とウクライナの領土の一部にはならないのだ。したがって西側諸国によるウクライナへの軍事支援は極めて不道徳だ。なぜなら、ドイツがウクライナに戦車を供与することで、おのずとロシアは中国に接近する。わたしたちクロアチアはウクライナ危機にまったく関係がない。クロアチアは有事の際、いかなる軍隊も派兵しない。」
こういう現実主義がなければ、あの地域で生きてゆくことは難しいのかもしれない。おっと、まじめな話になっちゃった。ごめん!



クロアチアはこんなかわいい街なのにね。



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