築地場外で700円のまかない丼を食べるか?はたまた2万2千円のうに丼を食べるか?
2018年10月、築地市場は83年の歴史に幕を下ろし豊洲に移転した。しかしながらその後も築地約400軒の場外店舗は営業を続けていて、毎日外国人観光客が詰め掛け、早朝から午後4時まで押すな押すなのお祭り騒ぎである。鮮魚、乾物、包丁、厨房雑貨を販売する店々。そして無数の飲食店が大盛況です。外国人にとってはエビフライ入りのおにぎりもエキゾティックであるでしょう。卵焼きも、サツマ揚げも、キュートなイチゴ大福もまた。しかし、なんと言っても主役は寿司である。「マグロ大王」と呼ばれる木村清社長率いる すしざんまい が君臨してもいれば、他方で市場飯の鮨屋も、握りずしの個人店舗も大盛況だ。なお、築地場外の鮨屋には独特のバイアスがかかっていて、かなり特殊な商売が成立しています。
さいきんぼくはおもいがけず鮨にはまっちゃって、おのずと朝起きれば築地場外市場へ行きたくなる。朝の築地の賑わいのなかでたとえば海鮮丼を食べるよろこびはかけがえがない。トロが、鮭が、ハマチが、刻みキューリがちいさくダイスカットされた黄色い卵焼きが、紫蘇の葉が、練わさびが、ごはんに振りかけられた糸切り海苔がよろこびの歌を歌っている。アオサ入りの味噌汁もおいしい! 生きてて良かった! なお、これは市場飯に特化した種市さんのまかない丼700円の話で、きわめて良心的でぼくは絶讃を惜しまずにはいられない。種市さんで3000円食べるのは天国でしょう。また、種市さんと経営方針がほぼ同じで店も隣り同士の かんの さんもまた1600円も払えば、リッチな朝食を楽しめて、たいへんにありがたい。
しかし、その他方で、築地場外市場は毎日毎日大量の外国人観光客が大挙してやってくるゆえ、おのずとかれらを狙う高額商売もまた少なくない。海鮮丼4000円越え、大トロ丼6000円越え、雲丹丼7000円越えがめずらしくもないほど。つきぢ神楽寿司本店さんの うに丼プレミアム にいたっては二万二千円です。
しかもここで気がつくことはここでキャッチーなネタは、圧倒的にトロ、サーモン、雲丹、イクラである。カラフルで、写真映えも良く、舌触りはまったりオイリーで、いかにも肉食舌をよろこばせ、かつまた高値つけに文句も言われにくいどころか、客はTOKYO観光&贅沢自慢ができる。ただし、こういうラインナップって鮨というよりはむしろ、SUSHI(Sushi accepted by Westerners)でしょ。じっさい青魚も白身魚も貝類もひじょうに影が薄い。季節感もない。だからといってそれが悪いわけでもないけれど。また、もちろん握り鮨を注文できる店へ入ればなんだって食べることができるわけですが。
とうぜんそんな築地場外市場には和牛も参戦! 牛武さんの和牛ステーキ5000円、築地伊八さんの常陸牛450gステーキ18000円。すごいですね~。しかも、街場ではこの値つけをするならば内装もゴージャスにしなくちゃ商売にならないものだけれど、しかし築地場外の場合は定食屋の内装でこの高額値つけがイケちゃう。ありえない商売があたりまえに成り立っています。いやぁ、なるほど、外国人観光客たちが築地場外の商売を大きく変えていることがわかります。
そんな気づきもおもしろいもの。どうぞ、鮨好きでまだ築地場外未経験の方は、ぜひ午前中にいらしてみてください。なお、水曜日は約4割の店が定休ゆえ、他の日を選ぶことが賢明です。理想的訪問時間は朝9時です。
なお、ぼくはまだ豊洲市場は未訪です。ましてや(高値つけが不評の)千客万来にいたっては。ただし、近日中に豊洲にも行ってみたい。なにか豊洲遊び方情報をお持ちの方は、よかったらコメント欄でぼくに教えてくださいな。
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