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日本的な「民主主義」とは

山本七平の『「常識」の落とし穴』文春文庫、初出は1989年、のⅡに

民主主義の運命

という章があります。この最初の節は

そろそろ民主主義亡国論

で、ここに大事な話があります。

山本七平の主張では

民主主義亡国論はプラトンの時代からある

つまり

自由と民主主義を獲得した瞬間に
あらゆる要求が出て収拾がつかなくなり
それが逆に民主主義を崩壊させる

という図式が、昔から何度も繰り返されている、という論法です。
現在で言えば

税金は払いたくない
しかし
社会保障は十分に享受したい

という話で、これに対して

ばらまき政治を行うにも原資がない

という状況で崩壊する。という論法です。

山本七平は、これに対する解決法として

イギリスの植民地搾取
半導体技術による錬金術

を挙げています。

つまり

原資を増やす
金儲け政策

です。確かに戦後昭和の日本は

高度成長で金を儲け
それを皆に配分

という形で成立っていました。しかし、この方向には限界があります。

さて、この問題に関して、もう一つ大事な議論があります。山本七平は、最初に

戦後日本の「民主主義」への異議は”不敬罪”

と指摘しています。つまり

「民主主義」の是非を問えば
「不届き者」で退場

という状況です。このため

プラトンの「哲人政治は間違い」

と、教科書に書いている通り答える、「優等生」が、この国を動かしていました。

しかし、本当の解決のためには

民主主義の負の側面
今までの議論で漏れていた面

を、もう一度見直す必要があります。

私は、プラトンなどの西洋文明の根底には

支配者と被支配者の断絶
神の世界への到達不可能

があると思います。彼らの発想では

一般大衆の欲望に任せると勝手放題

です。

さて、私たち日本には、大乗仏教の教えがあります。そこでは

皆が仏の智慧を持つ可能性

を認めています。これを、もう少し言えば

衆生無辺誓願度
多くの衆生をすべて救う

という、仏の力が、皆にあるということです。これをもう少し具体的に言うと、理趣経の百字の偈には

欲が世間を調えて

大いなる欲は清らかで
大いなる楽に富栄う

という風に

皆が良くなるという
思いやりの欲望

を説いているのです。

昔、橋下徹知事が、大阪府の財政立て直しを行ったとき、一人のおばちゃんが

「橋下さんようやっている、これ使って」
とリュックに詰めた千万円を寄付

した事例があります。この時、橋下府政は

府民にできるだけ説明し
当事者意識を引き出し

ました。こうした

皆の良識や思いやりを信じ
全員参加

が日本的な民主主義だと思います。

#民主主義 #山本七平 #大乗 #大衆参加


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