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源氏物語ー融和抄ー

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『源氏物語』を独自の視点で掘り下げ、紫式部という女流作家の思想にアプローチしています。
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#藤原宣孝

源氏物語ー融和抄ー浄土信仰からみた物語

源氏物語ー融和抄ー浄土信仰からみた物語

 光源氏は初めに二条院と呼ばれる邸宅を持ち、更に六条院と呼ばれる大邸宅を造ります。光源氏、三三歳の頃の事です。
 四町からなる広大な敷地、約二四〇メートル四方です。それを四つに区切り、四季で表しました。
 春の町に紫の上、秋の町に秋好中宮、夏の町に花散里、冬の町に明石の君がお住まいになりました。

 この六条院が源融の六条河原院だったかどうか記述はありませんが、六条にそれほどの大きな敷地を所有した

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源氏物語ー融和抄ー源融②

源氏物語ー融和抄ー源融②

 光源氏と紫の上が出会う段は「若紫」です。この段名はおそらく『伊勢物語』の第一段を引用しているものでしょう。

 『伊勢物語』第一段は、在原業平とおぼしき男が、縁のあった春日の里、現在の奈良県の平城京の跡辺りを訪れた際のエピソードを語っています。
 元服を済ませてすぐのことなので、まだ少年だったでしょう。
 少年は垣根ごしに美しい姉妹の姿を垣間見ます。この様子が、光源氏が垣根ごしに紫の上を垣間見る

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源氏物語ー融和抄ー紫

源氏物語ー融和抄ー紫

 紫式部がどのような環境の中にいたのか、その生い立ちを整理してみます。
 970年、または973年生まれ。父は藤原為時。母が早くに亡くなり、父の元で暮らします。為時の系譜は、藤原高藤の父良門からスタートすると、良門→利基(高藤の兄)→兼輔→雅正→為時、となります。
 夫の藤原宣孝は、良門→高藤→定方→朝頼→為輔→宣孝、となります。
 父も夫も藤原良門流から派生したところに生まれ、結束した一族の中に

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