好きな料理家さん②

昨日の日記を読み返すと、なんだかタイトルが頓珍漢だった気がする。日記にタイトルをつけるのって難しい。。今日は昨日の続きだけど、タイトルを変えてみる。

昨日は主に日常の料理に関する料理家さんだったが、今日はお菓子とパンのお気に入りの料理家さんを挙げる。私のお気に入りはなかしましほさんとムラヨシマサユキ先生だ。偶然にもおかっぱコンビになってしまった。

私はパンやお菓子に関しては、特に日本にいる頃は自分で作るよりもおいしいお店を見つける方が好きだった。料理は毎日作るものなので、ある程度コツをつかんだら適当に作れるようになる。そしてたとえ失敗しても他のおかずでカバー、とかちょっと味付けを変えてみる、などごまかしがきく。しかしお菓子は手間がかかる上失敗したすると見た目も味も取り返しがつかないことが多い。数ある工程のどれか一つでも抜けるともう戻れないので、集中力とやる気が必要だ。パンに関しては、絶対に自分で作るより買った方がおいしいと決め込んで日本ではほとんど焼かなかった。(「きのう何食べた?」の筧さんも同じことを言っていた。)

そんな、特にお菓子作りが好きでもない私が、なかしましほさんと出会ったのは私と同じく料理本収集家の母が買ってきた『まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本』が最初だった。タイトルの通り、日々ご飯を作る感覚でお菓子を作るのを目的にしている本なのだが、一つのボウルに粉と油と砂糖を混ぜて型抜きするスマイルクッキーのレシピは洗い物も楽でお菓子作りのハードルをぐっと下げてくれた。このスマイルクッキーはよく妹が作っていて、一度日本からの荷物に入れてくれたことがある。作って一週間ほど経っていたようだが、卵やバターを使っていないので味は落ちずに懐かしい味を味わえた。

こちらには同じコンセプトのケーキとマフィンの本を持ってきた。油は植物系の油で牛乳の代わりに豆乳を使っているので、ビーガンの人がいる集まりでも重宝するレシピだ。ちょっと小腹が空いたな、と思ったらサクっと作れるレシピの数々は、私と手作りお菓子との関係を大きく変えてくれた。

そしてアメリカに来てから大ファンになったのがムラヨシマサユキ先生だ。もともとはインスタグラムでフォローしているパン職人の方が先生の大ファンで、よく紹介されていたことから興味を持った。表紙のおしゃれさから、ついお菓子とパンの本を買ってしまったが、手順を読んでいるだけで敬遠してしまい、日本にいる間はお蔵入りしていた。何しろ手順が丁寧で細かく、読み物として楽しんでいた。

しかし、この方のおかげでアメリカでパン難民にならずに済んだので今や師と仰いでおり、さん付けができなくなってしまった。お気に入りの一冊は断然カンパーニュ本だ。美味しいハード系のパンに出会えず、必要に迫られてほぼ初めてパンを作る私に、条件を変えると様々な顔を見せるパン作りの奥深さと全ての工程に意味があることを教えてくれた。シンプルなものからスパイス、穀物やナッツにドライフルーツなど様々な組み合わせも紹介されていて、他にどんなものができるだろう、と自分で考えてみるのも楽しい。ホームパーティでバターを添えて出すと必ず感動される。褒められるとまずは、このレシピを作った人が本当にすごいの、とムラヨシ先生の話をするのだが、日本人の方がその後この本を買われたと聞いて、よし!と思った。カンパーニュ本一冊でいくらでも書きたいことが溢れてくる。別の日記にまとめよう。

お菓子にしてもそうだが、先生のレシピで作ると、まるで売り物のようなクオリティの作品ができる。そしてその文章からは、ご自分の納得いく味をいかに家庭で仕上げるかへの研究を重ねられていることがわかる。とりかかる前に少し気合が必要だが、その先生の情熱を信頼してレシピに身を委ねれば必ず成功体験を得られる。

ムラヨシ先生はお写真でしか拝見したことなかったのだが、先日俳優の小関裕太さんとのインスタライブでフレンチトーストを作っているのをちょうど起きていられる時間だったので見ることができた。年上で師と仰ぐ方にこんなことを思うのは反則な気がするが、はっきり言って可愛すぎてずっと夫の横で可愛い可愛い言ってしまった。これがいわゆる”推し”に抱く感情なのかもしれない。日本に帰ったらムラヨシ先生の料理教室に行くのが夢の一つだ。

パンやお菓子がうまくいくとその日一日の幸福度がとても上がる。ムラヨシ先生のパンはもう毎週のルーティンになっている。そして1時間も使いたくないけど何か甘いものが食べたいときにはなかしましほさんのレシピ、よし、なんかお菓子作るか!という気になったらムラヨシ先生のレシピを使わせていただいている。こんな引きこもり生活に楽しみを与えてくれる料理家さんには感謝の気持ちしかない。


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