おかあさんゆび(最終話:後編)
あきら「何で華さんスペインにいるの?」
ユミ「今は分かんないけど、連絡来たときは『長く居ることになる』って言ってたからさ。 え~っ、何だっけあれ? 桜田淳子みたいな名前の何かを直すとかどうとか言ってたけど。」
あきら「サグラダ・ファミリア!!!」
ユミ「あ、確かそんな感じ。何かスカウトされるとか何とか言ってたな。」
あきら「(レアルじゃなくてバルサにしておけば良かった・・・。)」
ユミ「あんたが中学出てスペイン留学してから1年ぐらい経ったころかな?急に連絡来て、ドイツから出るって言ってたから。一応華としては連絡しておきたかったみたいでさ。そっから連絡来てないから、まだいるんじゃないの?」
あきら「行こう。」
ユミ「ん?」
あきら「行こう、バルセロナ。」
ユミ「行くの?」
あきら「行くよ!!!」
ユミ「しょうがないねぇ。じゃああと10杯飲んだらな。おいトーマス!!!早く酒持ってこい!!!」
トーマス「ああああああああ、は、はい!!! 喜んで!!!(いっそのことラクにして下さい・・・)」
ユミ「あ、あきら、酔っぱらう前にこれ渡しとくよ。20年間ちゃんと保管しておいた。」
あきら「母さん、これって・・・」
ユミ「ん?華から預かってた手紙。」
あきら「何だよ母さん、何であの時渡してくれなかったんだよ・・・。」
ユミ「ん?渡すわけないじゃん。だってあの時渡してたら、ずー------っと夜な夜なこの手紙見てメソメソしてたろ?そんなの見せられたらイライラが頂点に達してあきらにとどめを刺しそうだったからさ。」
あきら「・・・。かもね。」
ユミ「まあ、もう時効だろ。とにかくあと8杯飲むからな。先に会計よろしく!!」
3日後・・・
ユミ「ZZZZZZZZZZ・・・・・・」
あきら「母さん、ほら起きて。」
ユミ「着いたら起こさないでくれ・・・。」
あきら「ほら逆!!! 着いたら起こす!!!」
ユミ「う~ん、ここはどこ?私はだれ?」
あきら「母さん着いたよ。ほら見て、あれがサグラダ・ファミリア。」
ユミ「おお!!! これが夢にまで見たジュンコ・サクラダ!!!」
あきら「ほら、一応華さんいるかどうか分からなかったけど、中に入れば何とかなるかなと思って、観光の予約しておいたから・・・。」
ユミ「観光の予約ってさ、あんたこっちじゃ有名人じゃないの?もうちょっと自分の知名度利用したら?」
あきら「いや、一応ライバルチームだったからさ。あんまり目立つとやばいかもと思って・・・。」
ユミ「何ビクビクしてんだよ。今はドイツの農家の次男坊って顔して行きゃあいいんだよ。」
あきら「(いや、どう見ても日本人だし・・・)」
案内係「ドウモ~ハジメマシテ~。マルコデス~。」
ユミ「おう!! あきら、何か胡散臭い奴が来たぞ。」
あきら「あ、予約してた・・・」
マルコ「おお!! あなたはレアルのユーリじゃないですか!! こんどはこっちに来てくれるんですか!! これで来シーズンは優勝間違いない!!」
あきら「いや、今はドイツでリハビリ中なので・・・。」
マルコ「いやいや、隠さなくても大丈夫!!」
あきら「まあ・・・。で、話は変わるけど、今日はここで作業してる女性を探していて、ちょっと協力してもらえないかと・・・。」
マルコ「Vale!! もちろん未来のバルサのスターの頼みは全て叶えるよ。じゃあ手数料で50ユーロでいいかい?」
ユミ「あきら、今こいつ金要求したか?」
あきら「ん?まあこっちだとみんなこんな感じだから・・・」
ユミ「おいゴルァ!! いいから早く探してこいって言ってんだよ!! 華ってドイツと日本のハーフな!! 華だぞ華!! は!!な!!!」
マルコ「ヒィイイイイイ!! 何がどうしたって言うんだいったい!!」
ユミ「いいから行けって言ってんだよ!! 華だぞ、はな!!」
あきら「渡辺華っていう女性です。あ、でも正しくは渡辺ハンナさん。」
マルコ「わ、分かりました。い、命だけはお助け下さい!!」
※30代スペイン人が50メートル5.8秒の猛ダッシュ
10分後・・・
マルコ「ゼェゼェ・・・。 わ、わかりました・・・。あの上の方で今は作業しているらしいです。多分夕方には作業が終わるらしいです。ハァ、ハァ・・・。」
ユミ「うむ、ご苦労。では帰って休むが良い。」
マルコ「ハァ、助かった・・・。」
※30代スペイン人、50メートル5.9秒で帰宅
ユミ「あきら、夕方だって。どうする?」
あきら「母さん、あの辺だよね。見える?」
ユミ「あたしに見える訳ないじゃん。点と線しか見えないよ。」
あきら「多分あの女性、華さんっぽいんだよね。ちょっと声出してもいいかな?」
ユミ「声出し? まぁどうぞお好きに。」
あきら「華さーーーーーーーーーーーーん、〇〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇---------!!!!!」
・・・
あきら「聞こえたかな?」
ユミ「さあね。でも泣いてるみたいだから聞こえたんじゃない?」
あきら「母さんさっき点と線しか見えないって言ったじゃん。相変わらず適当だよね。」
ユミ「まあ適当は筋金入りだけどさ。でもこの期に及んであたしを巻き込むかね。何が楽しくて『また3人で暮らそう』とか言えるか?」
あきら「言えるよ。というか言っちゃったし。まあ聞こえてるか分からないけど、後でほんとに会えたらもう一回言うよ。」
ユミ「あんたはサッカー辞めて自由人内定だからいいけどさ、あたしは一応酒蔵があるから・・・。」
あきら「母さんの実力をもってすればさ、スペインから遠隔で経営するぐらい簡単でしょ? むしろこっちでサングリアとか作ってさ~・・・。」
ユミ「1、2、サングリアか・・・。悪くないね。」
あきら「ほら。いい感じでしょ。」
ユミ「確かにな。じゃあそうと決めたら夕方まで時間あるから・・・農場でも買いに行くか!!」
あきら「よし、行こう!!」
ユミ「で、その後が気になんでしょ? まず華は・・・読んでるあんたたちの想像通りの展開。 あきらは、サッカー辞めずにもう1回スペインで頑張るんだってさ。まああたしが『逃げんだな?』って散々煽ったからな。 で、あたしか。あたしはねぇ・・・
あんたたちが思ってるよりさらに一段上の美女だからな!!!
USCB(ウルトラスーパー超絶美女)ってやつだぞ!!!
まあ目はちっちゃいけど・・・。
そこんとこヨロシク!!!」
おわり(ですが、おまけがあります)
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