#4保育士を辞めた理由。保育士さんがもっと増えるために必要なこと
私は大学で保育士の資格を取得し、新卒で認定こども園に就職しました。
(こども園とは保育園と幼稚園それぞれの特性を併せ持っている施設で保育園や幼稚園がこども園に移行するなど最近数が増えています。またこども園で働く職員は保育士ではなく保育教諭と言いますが、今回は保育士という記載をさせて頂きます。)
学生時代から夢だった子どもと関わる仕事に就くことができ嬉しい気持ちで新年度の4月から複数担任の1人として必死に子どもと関わりました。
そしてあっという間に25日、給料日を迎えました。
明細をもらい手取りの額面には「160000」と記されていました。
保育の勉強をしている学生の頃から「保育士はお給料が低い」というのは聞いていたし、知っていました。
それより大好きな子どもと関わる仕事に就きたいという強い希望を持っているつもりでしたが、いざ明細を渡されると「少ないな…」という正直な思いが浮かんでしまいました。
延長保育などに入っていない通常の勤務の場合8時30分から17時30分までが勤務時間ですが、8時30分からはすぐに保育に入ります。当日にしかできない準備もあるため、ほぼ毎日7時30分頃に出勤していました。
17時30分以降も保護者に呼ばれればお話をしたり、日誌などの記録の作成、翌日の保育の準備などがあり、だいたいタイムカードを切るのは19時頃でした。
数年前のことなので今は改善されているかもしれませんが、依然サービス残業のある園が多いのが現状だと思います。
時間外の労働もある上、保育士は子ども達の命を預かっています。
自分も保護者になって分かるようになりましたが、保育園に通う子ども1人1人は各保護者の命より大切な宝物であり、その宝物が集まって生活しています。
子どもは危機管理能力もまだ未熟なため、時には危ない遊びをしそれが事故に繋がってしまったという報道も多くあります。
また、子ども達に対して保育園などで虐待が行われているのも現実です。
なぜこのような悲しいことが起きてしまうのか。
それが冒頭に繋がってくるのですが、仕事量の多さや責任に対してお給料が低く、そもそも保育士になろうとしない人、保育士になることをあきらめてしまった人が多いからだと思います。
実際私の通っていた大学は教員の免許も取れるのですが、保育士志望で入学し、勉強していく中で保育の世界の実態を知り、本当は保育士をしたいけれど、教員にシフトチェンジしていく友達もたくさんいました。
卒業してからもそういう友達とはたまに食事を共にしますが、仕事の話をするたびに「小さい子どもと関わる仕事程給料が低いのはおかしい。」とよく言ってくれていました。
また私のように1度は保育士になっても将来を考えた時に経済的に厳しいと感じたり、仕事の大変さと給料が見合っていないと感じて途中でやめる人が多いです。
悲しい事故が起きるのは保育士の気の緩みもあるかもしれませんが、遊びを見守る人数が足りなかったパターンもあったと思います。
虐待は許されることではありませんが、中には保育士不足で多忙を極めており、心に余裕がない時に心にもない言葉を発してしまったり、考えるより先に手が出てしまったパターンなどもあったと思います。
子どもを守るために、保育士の処遇がもっと改善されれば事故や虐待などももっと減ってより良い保育を行うことができるようになるはずです。
乳幼児期から適切な養育環境で育った子どもの方が、そうでなかった子どもより非認知力が豊かだったり、人生の幸福度が高いという論文もあるくらいです。
私は保育士をやめて今は保育士養成校の事務員として働いていますが、学生さんを見る度、1つでも多くのことを学んで子どもと関わって欲しいと思います。
保育士はなくてはならない仕事です。それは親の為だけでなく、子どもの為にもなのです。
私のように志半ばでやめてしまう人が少なくなる社会になることを願っています。