#8 5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~ 障害者に対する見方を変えるために

5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~という映画を見たことがあるでしょうか?
2017年にドイツで制作され、日本では2018年に上映されていた映画です。

私は保育士養成校で勤めており、障害のある子ども達のことについて講義をしています。
学生さんの多くは講義で知識だけを与えていても、実際に障害のある方と関わった経験がない限りあまりイメージができないようです。
なので私は必要な知識について話した後、その障害についてのビデオや写真を見せるようにしています。
肢体不自由児についての授業では「こんな夜更けにバナナかよ」という映画を視聴しました。
この映画は大泉洋さん、高畑充希さん、三浦春馬さんは主演で内容も分かりやすく学生さんからも「筋ジストロフィーについて理解が深まった」という感想が多くありました。

その後ある学生さんが今回紹介する「5パーセントの奇跡」の映画を私に教えてくれました。
私は知らなかったのですぐにDVDを取り寄せ視聴してみると、難しい展開がなくストーリーも分かりやすくて時にコメディー要素もある見やすい映画だと思いました。

大まかにあらすじを紹介します。

まず高3の主人公サリーはある時先天性の網膜の疾患で視界がぼやけていき、本来の5%ほどしか目が見えなくなってしまいました。
元々ホテルマンになりたいという夢を持っていたサリーは障害を隠して5つ星ホテルの研修を受けることにします。

そこで出会った仲間たちと目の障害を隠しながら研修を続けるのですが、ほぼ見えていないので様々なトラブルがサリーに降りかかります。
障害を隠しながらもトラブルを乗り越えて研修を合格し、夢だったホテルマンになることができるのか?

すごくざっくり言うとこういった内容です。
ちなみにこの映画は実話を基に映画にするにあたって少し内容にアレンジを加えながら作成されているようです。

前述したとおり、あまり難しい展開もなく、どうトラブルを乗り越えるかというドキドキするシーンや笑えるシーンもあり、映画をあまり見ない学生でも見やすいようで視聴していました。

この映画があることでより視覚障害の講義も聞いてくれるようになり、私自身もとても助かりました。

この映画で1番良いと私が感じる点は、目のほぼ見ていないサリーの周りの人物がサリーに対して良い意味で障害者というレッテルを貼っておらず、自然体で関わっている点です。
一見、目がほぼ見えていないのにホテルマンの研修を受けるなんて無謀でしかなく、諦めて目が見えていなくてもできる仕事を探した方が良いという考えもあるでしょう。
確かに目が見えない状態で研修を受けると怪我などのリスクもあります。

でも、だからと言って障害のない人が障害のある人の夢まで諦めさせる権利はあるのでしょうか?
実際劇中でも高校の進路指導の先生に遠回しにホテルマンはあきらめた方が良いと言われます。
その際サリーは「実際にも見えていない僕は、夢を見ることさえもしてはいけないというのか」と主張しています。(一言一句同じではないかもしれないです)

社会の中には視覚障害だけでなく様々な障害のある方が私たちと同じ社会で生活しています。

私が思うのは健常者>障害者という考えの方が多いのではないかということです。
確かに障害者はその障害故、できないことや苦手なことはあります。
ですが、必要な支援や、周りの適切な配慮があれば十分社会で生活できます。

目が見えないから外を出歩くことができない、だから社会的に不必要だということではなく、目の見えない方をガイドしながら一緒にお出かけや生活の援助をすることに喜びを感じ、お給料をもらって生活している方もおられます。

その方にとってはある意味障害のある方が必要不可欠な存在であり、いなくなったりサービスを利用しなかったらお金をもらえなくなります。

このように社会の仕組みなどが上手くいけばお互い不自由なく生活はできるのです。

偽善的な考えかもしれませんが私はそう信じています。

障害のある方への差別や偏見をなくすためには、違いを認め合うことが必要であり、少しずつ広がりつつあるインクルーシブ教育(※1)がその差別や偏見をなくすのに重要な取り組みであると思います。

少し話が大きくなりましたが、5パーセントの奇跡は視覚障害の方の見方やイメージが大きく変わる映画です。

他にも障害者をテーマにした映画はありますが、もっとたくさん作られて共に生きる障害者が社会にいることが当たり前になる世の中になって欲しいと思います。

※1
性別や国籍、障害の有無で分け隔てることなく全ての子どもを同じ場所で教育する。その上で全ての子どもに必要な支援や配慮を行うという考えの教育方法のこと。
障害児だけ特別扱いするのではいところがポイントです。

#映画にまつわる思い出

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