朝日の色を覚えている
母親の実家は
片倉小十郎氏の配下の武士で
20何代目とかの大きなお屋敷で
高い高い天井の
黒いススだらけの天窓があった
母親と泊まる時
囲炉裏と土間のある部屋が大好きで
朝日の差し込む前に目がさめると
毛布をかぶってカタカタ震えながら
竃門神の前にうずくまり
朝日が梯子のように
部屋の中に入り込み
室温が少しづつあがって
暖かい空気の中に
小さな白いホコリが舞うのを
ワクワクして待っていた
ひいおばあちゃんのナミさんが
囲炉裏に鍋を掛けるのを
そっと見ていた
私が純な気持ちでいられた
ほんの数年の大切な宝物
あの家は何度か建て直してしまったが
夢に見るのは
朝日の差し込む天窓のある
あの大きな梁のある家ばかり
裏の座敷で寝ていると
布団の上にトンと蛇が落ちてくる
あの家で過ごした私の時間は
今でも大事な思い出
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