大晦日の彼氏鍋 #決闘年越しそば #手加減無用鍋 #毎週ショートショートnote
友人から彼氏が出来たと報告があった。
スマホから聞こえる声はピンク色で
花畑にいるようなウキウキとした単語が飛び交っている。
頬を緩めながら話を聞く。年末の嬉しい報告に缶ビールを一口含みつつ惚気話を聞く。
が、その数秒後、私の口から霧状のビールが
噴射される事となった。
元彼が、友人の彼氏だと判明したからだ。
ゲホゲホとむせる私を心配している声が聞こえるが、器官に入り混んだ苦い炭酸と元彼の思い出が混ざって上手く返事ができなかった。
彼と別れたのは、去年の年末。
バイトをやめた彼を私が養う形になったのが、別れの引き金になった。
無収入だというのに、ポイポイと買い物カゴに食材を放り込む彼と、夕飯に出てきた手加減無用鍋を見た瞬間。胸の奥にあった黒いモヤモヤと共に贅沢素材で出来た鍋に彼の顔を沈めていた。
これから会いに行くと伝え、素早く決闘年越しそばを袋に詰め小雪舞う中、ヒモ男にグツグツと煮えきった感情を抱えながら私は友人宅へ向かった。
【409文字】
いいなと思ったら応援しよう!
サポートありがとうございます。
治療、子育て、罰金返済等に使用させていただきます。