夏の夜空に降るあなた

そうね、
時代の終わりに星屑になるのは
幸運ですと十字を切りましょう

ぬるくなった缶ビール
濃厚ぶどうジュースの粒
ゆるゆる天の川に注がれて
そのまま果てまで流れていくから
わたしは心底ほっとして
贔屓の映画を観にいくわ

みだりにはじけるポップコーンは
生まれたばかりの細胞なので
顕微鏡でそうっと覗けば
ビッグバンなら観測できる
だって、地球はまるいもの

北極点にも南極点にも
こっちにおいでと呼ばれた夜の
「どちらにしようかな」
どこにいくのも同義と知って
遠心力で飛びたつ夜明け

目玉を焼いたフライパン
割れた殻から這い出るときめき
心も砕けたわけではないのよ
気高く駆けて風車にからまる
粉々になった白い破片が
懐かしい木々を励ますのね

桜は必ず散るのですから
終焉に星屑になる幸せを
諸手を挙げてよろこびなさい
美しく逝くストーリー

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