新しい才能だと思う:映画評「蜜蜂と遠雷」
原作は読んでて、面白いとは思ってたんですが、それだけに映画化は「どうかな〜」と。
「四月は君の嘘」の惨劇もありますし…。
しかしこの宇多丸さんの「激賞」を聞いて、「これは観るべきか」と。
<宇多丸、「蜜蜂と遠雷」を語る!>
https://www.tbsradio.jp/419044
蜜蜂と遠雷
まあ、宇多丸さんの評の通り。
これはナカナカのモンです。
原作とは別物。
でも原作の精神はしっかりと反映している。
物語としては長い原作を大胆にカットし、コンペのみに焦点を当てたのがお見事。
しかも多くは語らず、「演奏」と「表情」で物語を展開すると言う、非常に冒険的な構成・演出をしています。
それでいてチャンと「エンタメ」になってるのが、また凄いんですよ。
「再起」そして「飛躍」
冒頭、なんかボーッとした表情の松岡茉優が、明るく魅力的な人物として「再生」し、ラスト、勁さと神々しさと、ある種の怖れさえも感じさせるようになる。
四人の演奏者、それぞれの物語と、それぞれの成長があり、でもやっぱりこの物語は彼女のものだったのだと言うことが、ラストの演奏から強く感じられます。
日本映画にありがちな「説明的」な台詞はほとんどなく(そこら辺は松坂桃李が担ってます。好演)、そもそもセリフがかなり少ない作品なんですが、それでも終盤に入ると、
「このセリフ、いらないんじゃ…」
とさえ思わせられます。
斎藤由貴のヒロイン評
ヒロインの少女時代の母親のセリフ
セリフを落として映像だけでも、十二分に伝わるものがあるのでは、と。
それだけ、映像と演奏の「力」が突出してる作品だと思います。
監督は<自分の中では、この映画は「2時間のコンチェルト(協奏曲)」。>と言ってますが(パンフのインタビュー)、「まさに」、です。
「ジョーカー」「Yesterday」と来て、本作。
ここんとこ映画は「アタリ」が続いてるなぁ。