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脚本

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少し昔に書いた脚本を公開しています。
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2016年12月の記事一覧

ロールキャベツ

登場人物 渡蟹(わたりがに) たかお(26)……長男。フリーター。コンビニでバイトしている。 渡蟹 たかひろ(24)……次男。会社員。 まりも(23) ……たかひろの彼女。たかひろとは飲み屋で知り合った。 霧見(きりみ)(27) ……コンビニ店員。たかおのバイト先の同僚。バンドマン。 ■コンビニ・夜   まだ日をまたぐ前の夜のコンビニ。   たかおと霧見がレジカウンターにいる。   (SE)ファミマのメロディ。(来店時に鳴るアレ) 二人 いらっしゃいま

(M)の部屋

彼女 「たまに、いやたまにじゃないかもしれない。よく、とてもよく、私は色々なことが待てなくなります。たとえば小さい頃、母と約束していた門限は五時でしたが、時計の針が四時をさすと帰りたくて帰りたくてたまらなくなりました。かくれんぼをしている最中、私が鬼だというのに、我慢できずに帰ってしまったこともありました。学校に上がってからはひどいものでした。四時間目まである日は三時間目に、六時間目まである日は五時間目に、帰りたくて帰りたくてたまらなくなりました。いつもいつも、私は最後まで待

夜、ベランダにて

■夜のベランダ 明転。舞台中央に男と女がいる。 握手をするような形で手を握り合っている。 女が男の手をひねる。男、痛がる。 男の手の中から、女性モノの下着(パンツの方)がはらりと落ちる。 しばし目のやりとり。 女 (これはなに?)……。 男 (いや……) 男、逃げようとする。 女、格闘技を心得ている系のやり方で男を止める。 男 いたたたた! すいません! 女 いや、だから。 男 すいません! 本当に! 女 すいませんじゃないですけど。