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#118 読書日記15 子どもと大人のメンタルヘルス
■学校メンタルヘルス
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新年度の教職課程(特に「生徒指導論」と「教育相談」の講義内容を今のうちにアップデートしておこうと思い、年末の隙間時間に読書と研究。
今回はマルトリートメント発覚後の
学校のメンタルへルスについて。
一昨年度の授業から、川上康氏(東京都立矢口特別支援学校)の
『教室マルトリートメント』を取り上げている。
教師が無自覚に子どもたちの心を傷つけていることについて改めて注目されている。
教職をめざしている学生には、現状認識だけでなく、対応の具体を学ぶ意味で、ロールプレイ(仮想危機対応や報連相など)も実施できればと思っている。
マルトリートメント(maltreatment)の概念は、海外ではチャイルド・マルトリートメント( child maltreatment )という表現で認知されている。
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広義には「人あるいは動物に対する残酷なもしくは暴力的な振る舞い」を意味し、日本では特に「大人の子どもに対する身体的・性的・心理的虐待とネグレクト」を包括的に指す。
【2019年に厚労省が示した児童虐待の定義】
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教室マルトリートメントの内容については、以前に取り上げたので、ここでは割愛する。
今回は冒頭で紹介した『学校メンタルヘルスハンドブック』(学校メンタルヘルス学会)の活用について。
内容をダイジェスト的に学生に紹介し、将来の教師として最低限必要な心構えを持ってもらいたいと考えている。
具体的な対応事例や詳細は説明し始めると1500字では収まらないのでこれも割愛。
概要を知りたい方は以下のAmazonのサイトを参照されたし。
要は、学校におけるメンタルヘルスについて網羅したハンドブックである。簡潔に知識理解と対応のヒントがまとめられていてとても読みやすい。
授業教材としてどう提示するか検討中。大丈夫、4月まで時間は余裕のよっちゃん・・・・・と言いながら、いつも慌てている。
いじめ、うつ、ひきこもり、発達障害、虐待等の子どもの問題だけでなく、教職員・保護者が抱える問題、地域連携の問題も取り上げた三部構成になっている。
私の高校教師生活の最後の10数年(管理職時代)は、絶え間なく発生するこれらの問題への対応方策の構築、意思決定、行動の連続だった。
私自身、生徒の諸問題から教師のうつ、復職支援まで、多くの困難な状況に直面したが、幸運なことに私自身が鋼のメンタル(?)だったのか、心の痛みに鈍感だったのか、多くの専門家(行政・教育委員会、SC、SSW、児相、警察、裁判所、公的及び民間シェルター等)と手を携えながら対応することができた。
実際のところ、円形脱毛は長引いた・・・・・(T_T)
しかし、ふり返ってみれば、いつ自分が壊れてもおかしくない状況だったのかもしれない。
教育大大学院の臨床心理士の卵たちを指導していた時も、メンタルに関わる問題に対して、どのような姿勢が必要か(特に自分自身の心のさばき方や、過度な共感・受容が命取りになることなど)について、私は学生に口を酸っぱくして言ってきたし、学生も耳にタコができるほど聞いただろう。
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こうしたことは実際に直面してから
「さあ、どうする?」
ではなく、ある程度、場合分けしておいて、その対応方法や連携方法を知識として持っておくこと、そして脳内シミュレーションでイメージ化することが大切だと思っている。
避難訓練と現実の災害時の行動と同じで、いざとなったらパニックに陥る人は必ずいるので、そのリスク低減をどうはかるか研究したい。