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#206 読書日記36 『哲学の道具箱』

『哲学の道具箱』ジュリアン・バッジーニ,ピーター・フォスル/共立出版

論証を構成するには何が大切かという問題意識から編まれたカジュアルなスタイルの哲学用語集。

とはいえ「哲学」である。
身構えて読んだ。

立てた問いは

言語と世界はどうつながっているのか

文の正しさや推論の適切さはどのように決まるのか

チンパンジーの私であるが、哲学における論理の力を借りて、他者の論を検証する必要に迫られ(私の論は当てにならないので無視し)、学内の教授に相談して紹介された本書を研究用図書として購入。

哲学の大半は推論で占められている。

研究論文を読むときは、ひとつのことに対して思考を重ね、行きつ戻りつを繰り返す。

それって私の人生そのものじゃないか。

哲学することの意味は、意見が食い違って対立したり、ぶつかり合ったり、すったもんだ揉めて、何が「」であるかを論証し、それがどうして真なのかを説明することにある。

自然科学や社会科学には、実験と考察という確固たるフォーマットがあるので、きちんと結論にたどり着く。

もちろん、未来の課題として先送りされるものもある。

哲学は「理性」という道具の使い方を学ぶことから始まる。

本書は「哲学用語集」ではあるけれど、哲学の枠を超えて広く使えると感じた。

学生の論文に対して、その主張が間違っているとか稚拙であるといったことを指摘しようと考えているわけではない。

そもそも私の頭が稚拙だから、それをどうにかしなければいけない。


ネットの世界はエセ情報や偏向情報であふれかえっている。

近頃の学生は、論文を執筆する際はインターネットを活用したコピー&ペーストに頼りがちだ。

私自身、原点に立ち返えらなければいけないと思っている。

日頃、意識せずに用いている思考法が哲学に合致しているという気付きもあった。

本書は、哲学を道具としてどう使うかということを平易に言語化してくれている。

画像はすべて画像生成AI作。