10代のためのプレゼンテーション講座 ~伝わるって楽しい!面白い!~【子どもが教える学校】
2020年3月末、休校中の小~中高生に向けて、ZOOMを使った授業「10代のためのプレゼンテーション講座」を始めました。
小学校でも壁新聞やレポート発表などが、当たり前になっている時代。SNSやネットでつながるケースも多く、これまで以上に「伝える力」が大事なんじゃないか、そんな思いでこれまで計6回、200名近くの子ども・大人が参加してくれた講座です。
<※2021年10月追記>
その子どもたち向けの「プレゼンテーションの授業」がこのほど1冊の本になりました。
「10歳から知っておきたい、魔法の伝え方」
日本能率協会マネージメントセンターより発売
全国の書店さんでお買い求めいただけます。
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◆参加者のお声
・講座後の親子の会話に変化が!
お互いに思いやりがうまれて心が温まった!
・最初はしぶしぶ参加していた息子が最後には顔出しして発言できました!
・今の先の見えない閉塞感の中「家でも学ぶことができる!」と
いう手ごたえを得たことで親子とも明るい気持ちになった!
・私は『人間力が養われる』講座だと感じます!
この講座をきっかけに、プレゼンを実践する機会「子どもが教える大人学校」という企画も立ち上がったので、こちらはまた別記事にしますね。
なお、先にお伝えしておくと、コロナ休校中の自粛期間のため、本記事の企画はすべてインターネット上のやりとりだけで行っています。すべてオンラインで完結!デジタルネイティブ世代の子どもたちのITスキルの高さも伝わると嬉しいです!
0:本記事では2時間の講義をダイジェストでお届け
ダイジェスト記事7000文字 + 40分の講義動画 でお送りします
1:まずは子ども達の温度感を探る
気楽な思いつきで始まったこの企画。自分が持っているスキルで休校中の子ども達に何かできるかな、そう思って始まったのが「10代のためのプレゼン講座」です。この講座の最年少受講者は、小学校2年生です。(受講推奨は10代以上)
子どもたちへの講座は初めての私。講座をするにあたり、事前アンケートでみんなの「プレゼン観」を聞いてみることにしました。
●プレゼンへの印象は?
・言いたいことがあってもどう伝えたらいいか分からなくてだまっちゃう
・自分が思っていることをわかりやすく伝えられるようになりたい
・プレゼンは学校でもやるけれど苦手
●プレゼンの何を学びたい?
・上手な発表のコツ
・プレゼンのスライドの作り方
・言いたい事をまとめる方法
一番驚いたのは「小学生」でもプレゼンテーションという言葉や意味を知っている子が大多数だったこと、みんな壁新聞やワークの発表などで経験したことがあるようです。
その一方で、アンケートから受ける印象は、プレゼンや人前で話すことへの「抵抗感」や、親に誘われてしぶしぶ参加します(苦笑)というトーンが多く見受けられました。プレゼンについて、ネガティブな印象を抱く子が多いのかも・・
2:講座で持ち帰ってもらうと決めたもの
そんな子どもたちの事前の雰囲気から、子どもたちに講座を通じて持ち帰ってもらうものは、この2点に決めました。
その1
自分の思いやアイデアが誰かに伝わることは、とびっきり楽しい事
その2
伝わった先に仲間ややりたいことができ、夢が叶う感覚を実体験する
そのためには、まず講座の中で「伝える役割」を担う自身が、誰よりも楽しむというスタンスを決めました。会社員時代に楽しくてしょうがなかったプレゼンについて、そのエッセンスを子どもたちにも分かるようにお伝えすることにしました。
3:まずは自己紹介!
じゃあまずは自己紹介!各自1分くらい、画面に向かって自分のことを自己紹介します。ずらーっと20~30人の顔が並んだZOOMの画面に向かって、自分について話します。
●自己紹介
・お名前/学年
・どこから参加
・参加の目的
・学んだことをどこで活かしたいか
プレゼンについては、スピーチが苦手だったり、説明が下手だなと思ったり、お友達に伝わらなくて苦い思いをしたり、経験は実に様々。
だけど、みんな一言言わせて!初めましての人に向けた自己紹介、みんなとっても上手だよ!きちんと伝わっているよ。
3:プレゼンテーションは何ぞや?
さてさて、全員の顔と名前が分かったところで、そもそもプレゼンテーションって何なんだろう。そこから講座のスタートです。
◆ワーク
「プレゼンテーションって何?」
「身近だとどんなシーンが思い浮かぶ?」
ぜひみなさんも考えてみてください。
みんなからはいろんな答えが出てきましたよ。
やりとりの一部をダイジェスト動画でご覧いただけます!
「プレゼンって何?どんな場面で使うの?」11分動画▼
そうそう、プレゼンって例えばこんなものですよね。
・おもちゃを買ってもらうことの「お願いごと」
・授業の中での自分の「発表」
・学校や会社の「面接」
・「自己紹介」もかな
・結婚するときの「プロポーズ」もかな
みんな気づいたかな、プレゼンテーショーンって、意外と「身近なもの」なのかもね。
4:プレゼンテーションで叶うこと
じゃあ、プレゼンテーションが出来ると、「どんないいことがあると思う?」その場で口々に意見を出してもらいます。
お願い事が伝わると?発表がうまくいくと?面接や自己紹介がうまくいくと?どんないいことがあるんだろう?
みんなからはいろんな答えが出てきましたよ。
・自分の思いが伝わるよね
・やりたい事ができるかも
・欲しいおもちゃを買ってもらえる
・友達もできるね
・夢が叶っちゃうかも
みんな自分の意見、上手に伝えてるじゃん!
各回の講座には、15人~20人ほどの10代の子ども達が参加してくれています。こうやって、住む場所と年齢も違うみんなと会えたのは、「こういう講座をやりたい、みんなに参加して欲しい」という気持ちを、言葉や文章にして、インターネットで発信したから、出会えたんだよ。という話を伝えます。
会ったこともない人との出会い、やりたかった夢が形になる。
これってプレゼンの力だよ、だとしたらこんなにワクワクすることってないよね?
やりとりの一部をダイジェスト動画でご覧いただけます!
「プレゼンって何?最高のゴールを描こう?」9分動画▼
5:プレゼンテーションとはこういうこと
動画の中でもご紹介しましたが、みんなの気持ちが乗ってきたところで、講座の中で、プレゼンテーションをこう定義していきます。
プレゼンテーションとは:
相手に分かりやすく伝え、「行動」してもらう技術
自分が言いたい事が言えたら満足ではない。伝わった先に誰かとの心のつながりがあるもの、その誰かが心動いて、思わず「行動」したくなるもの。
子どもたちと、あれこれ意見を出し合いながら、こうやって言葉にし、講座の中での「認識」を共有していきます。
相手が行動したくなる、それがプレゼンのゴールだよ!
6:相手に伝わるために必要な事って何だろう
プレゼンテーションについてはここで定義したね。じゃあ、「人に伝わり、行動してもらうために」必要なことって何だろう。
みんなが人に伝わったなぁと感じるのはどんな時?
何に気を付けたら話が伝わったと思う?
◆ワーク:ぜひみなさんも考えてみてください。
「人に伝わり行動してもらう」ために必要なことって?
講義ではそう問いかけながら、
自分のこれまでの経験と照らし合わせながら、出してもらいます。
・心を大事にしたとき
・分かりやすい資料
・聞きやすい声
・図や表を使ってみる
・相手の目を見て話す
うんうん、どれも大事だよね。
そこでひとつ。伝わるために必要な方程式をみんなに伝えます。
「伝わるプレゼンテーションの方程式?」10分動画▼
伝わるために大事なのはこの3つ!特に、「①伝えたい気持ち」と「②相手への想像力」が何よりも大事であることを、2時間の講座の中で繰り返し伝えていきます。
人は誰かの話を聞く時に「2つの耳で聞いている」。特に、その人を「行動」につなげるのは「心の耳」なんだよ。だから、自分の思いがこもっていないプレゼンテーションに、いくら「③伝わる方法」を掛け合わせても絶対に心には伝わらない!
① 「伝えたいという気持ち」を自分の中に持とう
② 伝えたい相手のことを「とことん想像」しよう
③の「伝わる方法」は、数多くのプレゼンテーションテクニックとして溢れているけれど、それらをただ形だけを真似ても絶対に「伝わる話」にはならない、「相手の心が動く話」にはならないということを全力で伝えることも、裏目標として掲げました。(かつての私が陥った落とし穴だったので)
とにかく伝わるためには、テクニックじゃなくて、「伝えたい気持ち」がきちんとあることが何より大事!子どもたちには、プレゼンするテーマについて、「誰よりも自分自身の気持ちが動いていること」の大切さを伝えていくのです。
7:伝えたい思いに火がつく
ちなみに、子どもたちには事前に「自分が伝えたい何かひとつのプレゼンテーマ」を用意して講座に臨んでもらいました。何も条件のない中で、自分の意志で選ぶ、たったひとつのテーマです。
自分だったら「どんな内容/テーマ」のプレゼンをしてみたいですか?
・自分の大好きなもの/夢中なもの
・自分が学んだこと/教えたいこと
・自分の将来の夢
・それ以外、なんでもOK
用意した講座カリキュラムを進行しながら、ランダムに子どもたちへ「考えてきたプレゼンテーマ」について、簡単に発表してもらいます。
画面越しに初めて会った、学年も住む場所も違う、大勢の人たちに対して話す子ども達。
みんなこの時、とってもイキイキしています。少し不安そうだったり、緊張してるけれども、自分が選んだテーマ。
だって、大好きなレゴの事とか、空手の知識とか、好きでたまらない音楽のジャンルとか、いつも考えていた大人への言い分とか
何でも話していいよ、みんなで聞くよ!っていう場なんで。子どもたちの表情は徐々にほぐれてきます。
みんなが選んだテーマは実に様々です。
・大好きなスポーツチャンバラの事
・赤ちゃんの時から7年住んできた中国への思い、中国=コロナで悲しい
・お母さんを見ていて感じた疑問「大人はなんで嫌な仕事を辞めないの」
・大好きなレゴブロックを「説明書なし」で作る楽しみ方
・なぜ子どもは「勉強しろ」と言われると「うるさい黙れ」となるのか
・お城好きな子は、日本のお城の驚くべき構造の秘密
みんな・・よくこのテーマを思いついたよね・・天才!?
一人一人のテーマがユニーク!そして、この発表が本当に盛り上がるのです!!なんでこの1つに絞ったのか、そこへの思いや、子ども達のこれまでの経験、それらを適宜問いかけながら、子ども達は「伝えたい思いを言葉」にしていきます。
そのうち、どの子が顔出しをNGと言っていたのか、どの子がしぶしぶ参加だったのか、分からなくなるくらい、中には画面から飛び出してくるんじゃないか笑、って思うくらいに前のめりに、自分の好きな事・考えている事をいきいきと発表してくれます。
8:伝わるって楽しい!っていう体感覚を持つ
みんなには一つだけ「伝わる型」をお渡しします。プレゼンには、いろんな話の流れや構造の方があるけれど、その中でもひとつシンプルなものを。
「伝わる話の型」10分動画▼
この型に沿って、みんなで代わる代わる数分程度のミニプレゼン!自分の好きな事、伝えたい事をお話していきます。
そして次の感覚を、肌感覚として落としてもらう!
伝えたい気持ちのあるテーマだと、テクニックなくてもきちんと伝わる
内容は100%分からなかったとしても、熱意やワクワク感は伝わる
大事なのはプレゼンテーションのスキルじゃない、「伝えたい気持ち」なんだということを、子どもたちは自分のワクワクする気持ちや、お友達のプレゼンテーションを通じて、体感として落としていきます。「伝わるって楽しい」って、そう思うことがとにかく大事!
ワーク:
ぜひこの伝わる型にそってご家族やお友達に
ミニ授業をしてみてください。伝わり心が動き、
行動につながる授業になりましたか?
9:相手への想像力も働くように
そして同時に、会ったこともない初めてのお友達に対して、自分の伝えているテーマが「きちんと伝わっているのか」「伝わるためにはどうしたらいいのかの想像力」をみんなのプレゼンを見ながらチューニングしていくことも学んでいきます。
自分が心から伝えたいテーマであるほど、熱中しすぎてまわりに伝わってない・・とかね?
講座の中では、参加しているお友達全員に「どんどん質問をしてね」というグランドルールを定めています。なぜなら相手のことを知らないのに、伝わるプレゼンは出来ないからです。
子ども達は、一緒に学ぶ他の子たちに、質問を投げかけていきます。
自分のプレゼンするテーマについて
・そもそもみんなは知っているのか
・知っているとしたらどの程度なのか
・全く初耳の話なのか
・今自分が使っている言葉は、みんな知っている言葉なのか
こういった質問をその場で参加者のお友達に聞いていきます。
↑みんなに質問を投げかけて、挙手してもらっている様子
この講義は、WEB会議システムのZOOMを使って運用しています。
画面上に全員分の写真が一覧で表示されているので、席をたったりする必要もなく、みんなの挙手の様子や、顔色も見ながら、「プレゼンする相手についての理解」を質問を通して深めていきます。
10:結局、一番上達するコツは〇〇
こんな形で一方的な座学じゃなく、みんなの即興ショートプレゼンを入れ込みながら、講座を進めていきます。
みんなのショートプレゼンを聞きながら、「こんな風に伝えてみよう」「ここは理由を入れたらいいね!」「3つにまとめてみようか!」といわゆる、プレゼンテーションのコツや型もたくさんお伝えしていきます。
で、伝わるって楽しい!面白い!
そう思ってきたところでお伝えするのはコレ!
プレゼンテーションは知識じゃないよ、実践することが一番の学びだよ
そのために「みんなのための実践の場」を作ることにしたよ
ということで最後のお決まりはこれ。
子ども達に「プレゼンテーションできる場」を準備している話を切り出します。
・・・・興味ある人いる??私の話、聞く??
11:子ども先生へスカウト!
講座の最後10分は「私のプレゼンテーション」の時間を取らせてもらっています。子どもたちのプレゼン実践の場として、「子どもが教える大人の学校」を開講するということと、その場の「子ども先生になってよ!」とみんなをスカウトするプレゼンです!
このプレゼンを聞いて、学んだプレゼンスキルを使って「子ども先生」をやってみよう!と思った子ども達は、約1か月後に予定されている、「子どもが教える大人の学校」にて、大勢の人の前でインターネットを通じたプレゼンデビューをすることになります。
実はこのプレゼンの裏目的として、「私のプレゼンを通して誰かが行動をうながされる場面」を子どもたちに見てもらいたくて、こんな流れをあえて作っています。
「誰かの伝える力」を受けて、子ども達自身が心動かされ、「子ども先生になる」という新しいチャレンジに踏み出す。それこそが、プレゼンテーションの力なので、それらを体感覚として覚えて欲しいからです。
だから私はここでは、自分の思いに着火し、子ども達に熱くプレゼンします!プレゼン講座に参加者のうち、5割ほどの子ども達が「子ども先生」へとエントリーしてくれています。(4回目の講座では、ほぼ9割の子ども達がエントリーへと進んでくれました!私のプレゼン力が一定効果があったようで、ほっとした・・笑)
「子どもが教える大人の学校」企画の詳細については、長くなるので別記事にまとめています。
12:講座を受けた子どもたちの変化
最後に講座を受けた子どもたちの様子を、ご家族がつづったお声の紹介です。
最初はしぶしぶ参加していた息子。みんなの意見を上手に取り入れながら進められる授業に参加したくなったのか、ミュートを外したり、ついに最後には顔出しして発言できました!内容も素晴らしかったのはもちろんですが、一つ心理的なハードルを乗り越えられた息子のその変化がめちゃくちゃ嬉しかったです!そしてなんと、大人に向けての子ども先生もやってみるそうです!
ドキドキしながら参加させていただいた娘ですが終わった後は「楽しかったー!」と言っておりました。自分の発言をすべて肯定的に受け入れていただける場が自信になったようです。今の先の見えない閉塞感の中「家でも学ぶことができる!」という手ごたえを得たことで親子とも明るい気持ちになれました。
休校休塾。。宿題がやまほどあるとはいえ、時間もたくさんあるし、何気なく参加させてみたら、期待した以上にとても楽しかったみたいでまた参加したい!と。講師の先生の引き出す力が素晴らしい!
もともと人好きなうちの子は、ステイホーム中に家族以外の人とお話ができたことでも嬉しかったみたいです。
講座後の親子の会話に変化が!
『今の伝え方って〇〇視点があった方がよかったんじゃない?』
『そうかも。次は気をつけるわ。』
『もっと◇◇をいれるといいよね』
『うん、うん。』って笑いながら言い合ってました
お互いに思いやりがうまれて心が温まりました
【プレゼンテーション】と聞くと、何か能力があがるんじゃないか、
ノウハウが得られるんじゃないかと思うかもしれません
この講座にはそんな要素ももちろん入っていますが、私は『人間力が養われる』と感じました
・この環境が親として羨ましい(笑)
・褒め合う文化が自然と出来ている
・洞察力、多様性を感覚で理解してた。
そんな講座です!
13:受講したい!とおもった方へ
まずは「子どもが教える学校」に参加し、
子ども達のプレゼンテーションに
触れてみてください。
・子どもが大人に教えるってどういうこと?
・どんな風に授業するの?
きっと新たな発見があると思います!
「子どもが教える学校」
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【プロフィール】
鈴木深雪 東京都日野市在住
小学2 年生男子を子育て中の働く母。
個人HP)https://himotoki.com/
大手印刷会社に 16 年勤務そこでのプレゼンテーション/資料作成スキルを活かし、思考整理サポートや資料作成代行業務で独立。 7 年間の子育てで学んだのは「子どもが大人に最大の学びをくれる存在」であること。いつか子どもが先生の学校をやりたいという夢と、学校休校への子どもたちへの思いが合致し、本プロジェクトを 2020 年 3 月に立上げた。
その他、ライフワークとして、働き方をテーマとした東京都日野市主催セミナーへの登壇や、 NHK 番組「おはよう日本」への出演実績あり