私の生き方を太いものにしてくれた一冊「日日是好日」
「自分の人生において、
何度も何度も手にしている本は何ですか?」
もし私がそう誰かに尋ねられたら
迷わずこの本だと答える。
日日是好日
「お茶」が教えてくれた12のしあわせ
森下典子 著
昨年、樹木希林さんの遺作映画として
話題になったこの本。
声を大にして言うが、
私は映画の公開に関係なく
10年以上前から
この本のファンだ!
書籍も(文庫だが・・w)
第1版を持っている!
と、どや!はいいとして・・笑
この本は、
茶道の本にして茶道の本ではないと思う。
ある人が言っていたが、人生本だ。
本は、作者である森下先生の自叙伝。
大学生のある日、茶道に出会いそれから25年。
毎週稽古場に通う中で感じたこと。
そして、茶室という<変わらぬ空間>に
対比されるように進んでいく作者の人生と
その心の移り変わりが丁寧に丁寧に描かれている。
もう・・ひとつひとつの描写がすばらしくて・・・
私はこの本を初めて手にしたとき、
大変僭越ながら・・
「私が言いたかったのはこれなのよぉ」と
心の中で叫んだ。まえがきの一文を読んで
おいおい泣いた。
自分でも気づかないうちに、一滴一滴、
コップに水がたまっていたのだ。コップが
いっぱいになるまでは、なんの変化も起こらない。
やがていっぱいになって、表面張力で盛り上がった水面に、
ある日ある時、均衡をやぶる一滴が落ちる。そのとたん、
一気に水がコップの縁を流れ落ちたのだ。
お茶を習い始めた時、どんなに頑張っても、
自分が何をやっているのか何一つ見当も
つかなかった。けれど、二十五年の間に
段階的に見えてきて、今はなぜ、そうするのかが
おぼろげにわかる。
生きにくい時代を生きる時、真っ暗闇の
中で自信を失った時、お茶は教えてくれる。
「長い目で、今を生きろ」と。
ハードワークの会社員生活に必死だった私に
週1の茶道が忘れていた感性を呼び覚まし、
色どりを取り戻してくれたこととか。
20代の時、大好きな友達がキャリアや
人生設計を次々に歩き出したときの不安な思いとか、
茶道と人生が幾重にもオーバーラップして
いいようもない感動をもたらしてくれたこととか、
私が毎週足繁く、茶道に魅了されて
稽古場に通う理由がこの本にはびっしり
書いてあった。
言葉の力はパワフルなもので・・
森下先生の本を読んでから、
より一層たくさんのことを
茶道から感じられるようになった。
人生とは、こんなに味わい深いものなのだと
何度も森下先生の言葉を借りながら
その良さをかみしめた。
ちょっと人生につまずいたとき、
お茶の世界に浸りたいとき、
この本を開くと、私の中の感動スイッチが
ONになって、じわっと日常の生活で
乾燥した私の心をひたしてくれた。
本当、何度も何度も手に取って・・
カバーもボロボロになって・・
大好きな本。
最近は、大切な方のギフトには
この本を差し上げるようにしている、
それくらい愛してやまないこの本。
昨年の秋だろうか、、
「日日是好日愛」を語っている私に、
友人がこう一言解き放った。
「そんなに好きなら
作者の方に手紙出してみたらいいじゃない」
そんな発想もなかった私は、
え?と戸惑うと同時に、
森下先生にこの思いを届けられる!!と
思った瞬間にぶわーーーーっと涙が決壊したのである。
(続く)
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