配信落語
落語が好きです。
一番古い記憶は、中学生の時にイイノホールで観た五代目柳家小さん師匠。残念ながら、演目は何だったか全く覚えていません。
好きと言っても、せいぜい月イチぐらいのペースでお気に入りの師匠の落語会に行ったり、気が向くとフラッと末廣亭に立ち寄ったりする程度。年間1000席以上も落語を聴きまくっている友人と比べたら、僕ごときが「落語好き」を名乗るのもおこがましいのですが、かれこれ30年以上観続けているので、志ん朝師匠や談志師匠の高座を体験出来たのは幸運でした。ちなみにその頃は桂文治師匠(十代目)の江戸弁と佇まいが好きで、よく観ていたなあ。 ↓こんな、可愛らしいお爺ちゃんです。
好きな落語家については、改めて一人ずつ書いていきたいと思っています。
寄席が営業自粛を開始する直前も、変わらず月に1、2回は寄席に足を運んでいました。3月の末廣亭や鈴本演芸場は観客が10人程度のこともあり、客席からの笑い声は途切れがちで、師匠たちがやりにくそうにしているのが観ているこちらにも伝わってきましたね。
そして今、観客の前で落語を披露できない師匠たちは、YoutubeやVimeo、Zoomなどで無観客の落語を配信し始めています。
僕も、前述した落語好きの友人に誘われて、配信落語の裏方としてちょっとだけお手伝いをさせて貰っていますが、実際やってみると落語の配信は難しいです。
狭いスタジオでは、笑いが起こるべき場所で起こらないので、腕のある師匠でもやや間を食い気味になりがちです。人情噺はともかく、滑稽噺ではノッてくる観客とのドライブ感が生まれないのも痛い。また、「カメラと演者が近過ぎる」「見慣れないアングル」から生じる違和感も無視出来ません。
このカメラが近過ぎる問題で思い出したのが、世界のクロサワ。
黒澤明監督は、カメラを遠い位置に置いて望遠レンズで撮影することを好んだと言います。役者がカメラを意識すると芝居が変わってしまうというのが、その理由です。
黒澤監督が起用する名優たちでさえカメラを意識してしまうというのですから、ただでさえ慣れない無観客落語の師匠たちが、普段通り振る舞えないのも当然と言えば当然。
とは言え、鈴本演芸場や末廣亭を借りて撮影するならともかく、狭いスペースでの配信では、カメラを近くに置かざるを得ないので、黒澤方式は不可能です。何か工夫が必要ですね。
自粛が明け、寄席が営業を再開しても、配信落語は落語家の生活の糧として、また寄席に足を運べないファンへの発信方法として、定着していくでしょう。となれば、少しでも寄席の空気を感じられるよう、落語家が自然に演じている姿をお届けできるよう、試行錯誤したいと思います。
あ、落語が好きだと言いたかっただけなのに、なんだか真面目な話になってしまいました。
本音を言えば、今は一日も早く「SWA」の新作落語が観たいです!
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