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禁忌は偏在する。そう、その辺の自販機にも

この記事は、私が遭遇した自販機を、品揃えのおもしろさという観点から格付けしたものである。

1台目:力が欲しいか?

☆☆
あらゆるニーズに幅広く対応する優等生的な自販機。強いて言うならジュース系が少ないか。

その中に佇む「力水」はエナジードリンクの位置付けなのだろうか。閑静な住宅街にも、日夜パワーを欲している人がいるのかもしれない……。

2台目:近所にあったら気持ちが弾んでしまうかもしれない

☆☆☆☆☆
お茶・水・コーヒーは隅に追いやられ、甘い飲み物でポップにまとめられた自販機。特筆すべきは「いちごオ・レ」「レモネード」「クリームソーダ」のレトロ布陣だろう。1台目の隣にあるものだが、こちらが後に設置されたため差別化を図っているのだろうか、という想像をした。

3台目:禁忌が口を開けて待っていることに、きみは気づけるだろうか?

☆☆☆☆☆
コカコーラとアクエリアス、いろはす、綾鷹と無難そうなものが目につくが、それは早計というもの。この自販機、ディープである。

まず指摘すべきはドクターペッパーの存在だろう。ドクペ、概念こそ持っていたが目にするのは初めてだった。

この自販機、見れば見るほど不安になってくる。この品揃えにした人は相当ヤベェ奴なんじゃないか? 左下に綾鷹が3つ、右下に青のジョージアが4つ並べられている時点でどことなく怖いのに、ジョージア香るブラックが3つ、しかもなぜか斜めにずらされた配置で置かれていることに気づいたときには既に手遅れなのである。ホラー映画で見たから分かる。

「ここヤバいって、もう引き返そう」ってなった時点で引き返しておけばよかったものを……。

4台目:デキる大人ってこういうことなんですかね

☆☆☆
打って変わってエリート爽やかビジネスマンみたいな品揃えだ。必要なニーズは漏らさず満たしつつ、キレートレモンで気遣いも忘れない。烏龍茶で少しの個性を滲ませる余裕もある。左下の金ピカコーナーが気になるが。ロレックスとか好きなんだろうか。

5台目:頑張りま賞


自販機の幅が広いのでバリエーションも豊富だが、その割に変な飲み物がない。1台目でも見た気がするけど、メッツってメジャーな飲み物なんだろうか……。

6台目:そこにそば茶があるだけで、どうしてこんなにもきみを許してしまうのだろう

☆☆
守りに入っている品揃えじゃないだろうか。ジュース類が下の段に入っているのは、子供の目につきやすいからかもしれない。そば茶が嬉しい。

7台目:鶴瓶の麦茶が大きくなり続けてるのって、宇宙が膨張してるかららしいよ

すぐ近くにコンビニがある自販機なのでどう差別化しているのだろうと思ったが、100円飲料とメッツのバリエーションが売りなのかもしれない。私はメッツのことを大幅に過小評価していたのだろうか……。

8台目:夏休み、市営プールのロビーの日に焼けた椅子の白ささえ、こんなにもはっきりと思い出せる

存在が嬉しい。子供の頃プールに行くたびにせがんでいたが、思っていたより高いな……。

ねだられるがままに買い与えて甘やかすこともせず、かといって完全にアイスを禁止して疎外感を感じさせることもなく、のびのび育ててくれた両親のありがたさを噛み締めながら、帰路に就いた。

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