インドネシアで実感した日本の外国人労働者受入れ政策に対する危機感
12月1日~12月10日までインドネシアのジャカルタとバリに出張してきました。今回の出張目的は、インドネシアで初開催された特定技能「宿泊分野」の試験中に際し、試験主催者である一般社団法人宿泊業技能試験センターの認定マッチング事業者として受験者のマッチングサポートがメインでした。
私が代表を務める一般社団法人ワールドフォレストは、2021年11月からインドネシア労働省と1年間の協議を重ね、本年6月29日にインドネシア労働省と「インドネシア共和国労働省の職業訓練・生産性向上総局の力量に基づく特定技能人材教育訓練及び技能実習生人材能力を高めるための協力覚書」を締結しました。その中で上記の目的以外に、インドネシア共和国を訪問することは協力覚書後の初の表敬訪問でもありました。
今回のインドネシアのジャカルタとバリでの10日間に渡る滞在は、上記の2目的を外れ、ある意味衝撃的な危機情報を掴んだ出張になったため、この場で皆様にシェアできればとの想いで、現在日本に帰国するバリのングラライ国際空港の待合いにてペンを走らせております。私は18年間この業界におり、この業界にある意味骨をうずめる覚悟で仕事しておりますが、正直日本の外国人労働者政策への危機感と、言葉乱暴ですが、ある意味気持ちが折れそうになる滞在になりました。今日日本に戻りますが、私でこれから何が出来るかわからないですが、SNSを通じて、またあらゆる手段を使って、この問題に立ち向かっていきたいと思います。
それでは具体的にこのインドネシア滞在で何を掴んだのかを3点ほど紹介したいと思います。
インドネシア労働省と韓国労働省は新たな労働者受入れ制度を協議
インドネシア労働省とオーストラリア労働省は新たな労働者受入れプログラムを協議
オーストラリアのワーキングホリデー協定強化、ベトナムは期間を3年化、インドネシアからも受入れ
インドネシアのIDA労働大臣は韓国の労働大臣と協議し、インドネシアからの韓国への労働者輸出に関して来年以降積極的に大きく再開していくことが協議されております。既にインドネシアのジャカルタで手に入れた情報によれば、韓国のヒュンダイ社や大手造船会社が動いており、IDA労働大臣の韓国外遊においても自身のSNSで大きく取り上げております。
次にオーストラリアとインドネシアの関係ですが、2020年に両国は労働者交換プログラムの協議に入ったことが報道されており、2022年にオーストラリアの新首相就任に伴い、本プログラムの実現が高まっているとのことです。
インドネシアのIDA労働大臣は、日本から韓国に入った後に、オーストラリアにも入国し、オーストラリアのナショナルデーの祝賀会に参加し、オーストラリアの労働大臣と協議しております。またその後シンガポールにて再度オーストラリアとの労働者交換プログラムに関してメッセージを投稿しております。
最後に非公開情報ですが、オーストラリアがベトナムからのワーキングホリデービザ受入れに関して3年間の滞在を許可する可能性の情報を入手しました。2022年3月にオーストラリアがベトナムからの農業移民労働者受入れを発表しており、年間約1,000人のベトナム人農業労働者を受け入れ、基本給(生活費を除く)は月3,200〜4,000豪ドル(約29万~36.6万円)と、ベトナム人労働者に人気のある他の労働市場と比較してもかなり競争力のある水準になると予想されております。
ここに更にワーキングホリデービザで最長3年間受入れの門戸を開いた場合、英語の取得可能と好待遇の賃金が相重なった場合、ベトナムの若者のオーストラリア熱はかなり高まることが予想されます。
またオーストラリアはインドネシアからのワーキングホリデー協定が締結されており、その人数枠の拡大も協議されているとのことで、オーストラリアの外国人労働者・移民受入れ政策の拡大が非常に高まっていることを知ることが出来ました。
以上3点をインドネシア滞在中に取得した情報ですが、コラム冒頭でお伝えした通り正直、日本の外国人労働者受入れに関わる身としては心折られる情報で、18年間この業界に携わっている身として「危機感」しか感じられず、ここまで課題感を突き付けられた海外出張は初めてになりました。
その中で私が日本政府に要望したい具体的な外国人労働者受入れ政策を提言して本コラムを締めくくりたいと思います。
【提言1】:日本も早期にベトナムとインドネシアからのワーキングホリデーの2国間協定を締結し、両国の若者に日本来日のチャンスを拡大すること。
【提言2】:インドネシアで特定技能の全ての分野の技能評価試験を定例開催し、インドネシアからの特定技能受入れを拡大させること。
【提言3】:技能実習制度と特定技能制度の抜本的改革論の有識者会議の具体的な内容を来春に公表すること。
【提言4】:【提言3】の方針をベトナム政府とよく協議し、【提言2】同様、ベトナム国での特定技能の全ての分野の技能評価試験を定例開催し、ベトナムからの特定技能受入れ(帰国した元技能実習生の再来日)を拡大させること。
以上本コラムでした。もし良かったら「いいね」マークのプッシュをお願い申し上げます。