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何度も聞いていると本当に思えてきちゃう「真理の錯誤効果」
「人間は脳の10パーセントしか使っていない?」
様々なところで見かける「人間は脳の10パーセントしか使っていない」という話。あれ本当なんでしょうか?答えはブブー。間違いです。神経科学者のデイヴィッド・イーグルマン曰く「私たちが今こうしたことをできるのは、まさに脳を100%使っているからなんですけどね」(※1)。ついでにですが、雑誌『フォーブス』の編集長も引用していたチャールズ・ダーウィンの「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である。」という名言。ダーウィンのどの著書のなかにこの言葉は出てきません。この言葉をダーウィンの言葉だとして引用している人や媒体があったら疑ってかかったほうが良いかもしれません。
真理の錯誤効果
真理の錯誤効果 (Illusory truth effect)とは
•間違った情報でも、何度も報道されているうちに本当だと考える効果
•初めて知った主張よりも、既に知っている主張を正しいと考える傾向
とくに二つ目のほうに要注意です。たとえば、「人間は脳の10パーセントしか使っていない」など。これは嘘です。しかし何度も耳にしているうちになんとなく信じ始めてしまっています。逆に何度も同じことを主張していると人々がだんだん信じるようになっていくわけでもあります。
カナダのオンタリオ州にあるトロント大学の心理学者リン・ハッシャー教授は、「物事は繰り返されることで、ありそうなことだと思えるようになります」(※2)と説明しています。ハッシャー教授によると「この効果は、人々がそれ以外の情報にうんざりしていたり、悩んでいたりするとき、より強力になる」とのこと。
対策
認知バイアスすべてに当てはまることですが、「その存在を知ること」が対策そのものになり得ます。知らずにいるならば、この真理の錯誤効果の影響を受けていてもそれと気づくことができません。認知バイアスが「知るだけで武器になる知識」であるのはこのためです。
次いで、少々面倒なんですが、「自分で確認すること」。たとえ糸井重里が言おうとひろゆきが言おうと「ホントかな?」と疑って自分で調べてみること。面倒ですが、慣れると苦にならなくなります。そして時間もそれほど掛からないことも多いです。
もうひとつ真理の錯誤効果の影響から身を守る方法があります。それは「メディアから距離を置くこと」。ニュースや雑誌を常にチェックすることが世界を理解するために有効かというとそうでもないと主張する方もいます。こちらの本がそうでした。
この本を読んでからわたしはニュースより基礎知識の獲得を優先しています。国、政治、歴史、ニュースを批判するには知識が圧倒的に足りないと感じました。ニュースと少し距離を置くのは、この時代の移り変わりのスピードが加速度的に速くなる現代においては少々怖いことですが。
認知バイアスとは
認知バイアスとは、人間が進化の過程で獲得した行動様式のバグ。無自覚で不合理な行動の元です。頭が良くても陥るもので、熟知すると落とし穴に落ちないで済むし、利用もできるようになります。
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参照
※1:東洋経済「「人間は脳の10%しか使っていない」は本当か」
※2:Wired「ウソ」も繰り返して言えば、「真実」になる──トランプ大統領の発言と「真理の錯誤効果」についての考察