2024.4.5 「寒ざらしそば」の2つの価値。
4月5日(金)
今週から「寒ざらしそば」が始まりました。
毎年試食会で、私から「寒ざらしそば」について5分くらいお話しするのですが、今回の試食会で話した内容を、今日の朝礼でみなさんにも共有したいと思います。
内容は、「寒ざらしそば」の価値についてです。
聞いてください。
まず、「寒ざらし蕎麦」とはそもそも何だったか?
「献上そば」でしたよね。
山形では最上義光公に献上しますが、本来は将軍家に献上していたものです。
江戸時代に、将軍家に献上するってことは物凄いことですよね?
つまり…庶民の食べ物だった蕎麦が、寒ざらし処理をすることによって、藩の威信をかける程の素晴らしいものに変化するという認識が、当時あったことが分かります。
では、「寒ざらしそば」のどの部分にその価値を見出していたのか?
まあ、いろいろあるんですが、今日は2つほどお話したいと思います。
1つ目は「そば本来の甘みを楽しめる」ということだと思います。
よく寒ざらしは「アク」が抜けるって言いますよね?
分析してみると、確かにえぐみに関する成分が減少しています。
さらに、水に晒すことで殻や甘皮を分離しやすくなるので、苦みや渋みといった雑味の部分が混入しない、白くて綺麗な粉が挽けるんですね。
寒ざらしそばが少し白いのはそういった理由もあるんです。
もちろん「アク」も、本来は蕎麦の魅力ではあるんですが、
この「アク」の部分が取り除かれることによって、そばの持つ本来の甘みが前に出てくるようになるんですね。
「そば本来の甘みを楽しめる」というのが一つ目の価値だと思います。
ただ、どうでしょう?
ちょっと美味しいくらいで「献上品」になったか?
という疑問も湧いてきます。
で、2つ目の価値なんですが・・・
「手間暇かけた贅沢品」 という価値です。
当時の江戸社会はものすごい「贈り物」文化だったようです。
相手を圧倒するほど手間暇をかけた逸品に価値があったんですね。
その際に、厳冬期に雪をかき分けて水に入りそばを浸し、その後引き揚げて寒風にさらすといった考えられない程の手間暇をかけた「寒ざらしそば」は、献上品にうってつけで相手を圧倒するほどの贅沢品だったと言えます。
以上が「寒ざらしそば」が献上品たる所以かと思います。
ちなみに、「寒ざらし蕎麦」には乾麺もあります。
今年のお中元はどうしようか?って迷ってられる方は、もう「寒ざらしそば」の乾麺以外考えられないんじゃないかなぁ?と思います。
最後は宣伝で〆させていただきましたが、間も無く「寒ざらしそば」の試食です。
「そば本来の甘み」を感じていただけたら幸いです。
というようなお話しをさせてもらいました。
テレビのニュースで、試食された方のインタビューをみていると、「甘みがすごい」とか「手間暇かけた」というキーワードを言ってくれていました。
こうやって、みなさんにイメージを作ってあげるのも必要かと思います。
それでは本日もよろしくお願いいたします。
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