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Archerが資金調達とともに、Andurilと提携して防衛産業へ

eVTOLスタートアップ;Archerが4.3億ドルを調達し、同時に防衛Tech大手のAndurilと提携を結びました。
調達資金では来年の予定されるエアタク事業の構築に向けた量産体制整備を行い、Andurilとの提携で防衛向け機材の開発/高度化に資源を注ぎます。
eVTOLは開発/実証の段階から商用化段階に進みつつあります。

https://investors.archer.com/news/news-details/2024/Archer-Announces-Strategic-Partnership-With-Anduril-to-Develop-Hybrid-VTOL-Military-Aircraft-Raises-An-Additional-430M/default.aspx

https://www.reuters.com/business/aerospace-defense/archer-aviation-raises-430-mln-through-equity-offering-partners-with-anduril-2024-12-12/

1;Archerによる資金調達と防衛産業化

 Archerは12/12に新しい国防プログラムを立ち上げ、同時に4.3億ドルの資金調達を行ったとリリース。既存投資家のStellantis/United-Airに加え、Wellington-MGTや2Ponit-Zero(アブダビ)といった新規の投資会家からも調達

 新規のプログラムでは防衛Tech企業であるAndurilと独占的パートナーシップを締結、防衛用途向けハイブリッド/電気駆動VTOL機を共同開発。詳細は不明だが、Archerはジョージア州の工場で機体を製造予定。同工場ではStellantisと連携して24/12から[Midnight-eVTOL]の大量生産を開始し、25年からエアタクNWを構築する予定。

(Archer)
 Archerはジョージア州の工場でeVTOL航空機を製造、現在Stellantisと協力して24年末までに [Midnight機]の大量生産を開始。創業者/CEOのGoldstein氏は、軍事利用を含めた人命救助に機材が用いられると強調
 [eVTOLは軍事用途/兵器化される可能性もあるが、監視/偵察/救助ミッションがメインであり、25年には国防総省向け機材を製造する]
 [今回の独占的協業でeVTOLの市場投入までの時間を、従来の数分の1のコストで加速できる]

 Archerは以前から軍事/国防用途での開発を行った経験がある
 -23年;国防総省との関係強化を支援する諮問機関を設立
 -23/08;最大1.42億ドルの契約の一環で米空軍に評価用機材を納入 
 Goldstein氏は国防分野での事業拡大に意欲を見せる
 [今回の提携は国防総省のProgram of Record (一定期間の資金が保証された予算調達プログラム、議会/国防総省が専用予算枠を承認)を狙っている]
 [ハイブリッド機製造にも拡大したのは、低騒音/低熱といった電気システムの利点を維持しながら、防衛作戦に必要な速度/航続距離/積載量などの性能向上を考慮したため]

(Anduril)
 Andurilは24年度の防衛Techを米国でリードする存在で、24/08にはSeries-Fで15億ドルを調達して自律型軍事システムの生産拡大にめどをつけた。往々にして動きが重い防衛産業にシリコンばえー的な考え方を持込んできた。
 Andurilの広報担当は今回の協業による効率的な軍事行動の実現が出来ると強調
 [Latticeは様々なセンサーからのデータを統合してリアルタイム状況認識を提供するPFであり、現時点で数百の軍事システムに組み込まれる。脅威の検出/追跡/意思決定を自動化することで現場の負担を減らしている]

2;国防総省との契約

 政府契約に詳しい情報筋は、Program of Recordは国防総省契約の聖杯で獲得が非常に困難との見方を示す。通常は導入/契約実績のある防衛事業者と、政府が間違いなく必要とする技術を持つ資金力のあるスタートアップ向けに確保される
 ArcherのGoldstein氏はトランプ次期政権も見え据えて下記コメント
 [両社協業で生み出される機体は、機能を維持しながらコスト削減する"DOGE”の枠組みに非常によく適合する]
 [新政権とMusk氏は、新企業による新機軸/柔軟/機動的な事業推進を志向し、コストがはるかに低い無人システムは非常に合致すると考えている]

3;Andurilについて

 Andurilは2017年設立の自律システムをメインとする防衛Tech企業でAI/ロボットなどの応用製品を国防総省に納入。SWエンジニアリング/コンピューティングに重点を置き、主要製品は[無人航空システム][ポータブル自律監視システム][NW化指揮統制ソフト]等を備える
 メインは[Barracuda-M]と呼ばれる低コスト巡航ミサイルで陸上/空中/艦船の3ラインナップで提供、既製品活用で低コスト/高効率を実現。脅威変化/新技術に応じて生産ラインに新しいサブシステムを迅速に組み込み、さらに新ミサイル技術を介して米軍に十分な量のミサイルを供給、自社で米国内に工場(ロードアイランド/ミシシッピ)を持つ点で差別化を図っている

 最近では小型の自律型航空機が群協力して任務遂行する高度防空システムを開発、LLMベースでのインターフェース設計制御を実現。この技術を通じて米軍の弾薬効率化を図り、軍需版カンバンを実現している

 なお直近ではPanaltirと提携し、戦場での収集データを安全に収集/統合する仕組みを構築してAI訓練に不可欠なデータの大規模な保持を実現。
 提携では、防衛分野でのAI採用に向けた課題である[データ準備][大規模データ処理]を克服することを目指す(現状では国家安全保障に関連する重要なデータの多くが未利用/保存不備が指摘される)

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