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EUによる中国製EVに対する関税施策の正式発効へ
EUの中国製EVに対する関税が正式発効しましたが、米加と異なり会社によって関税率が異なっています。
欧州メーカーも対象となっており、現行の価格ラインナップを勘案するに多分に政治的な色合いが強い施策となっています。
日系への影響はほぼ皆無ですが、施策実施後も中国メーカーによる欧州市場攻勢は変わらなそうな勢いです。
1;EUの中国に対する関税率引き上げ/強化
EUは中国製EVに対する暫定関税を7月から施行してきたが11月から正式に発効。本施策は中国製EVへの政府の不当な補助優遇と、それに伴う自動車産業の保護に向けたもので、不当な政府補助に関しては1年近く調査を実施し、調査協力の程度に応じて関税率も調整された
欧州委員会は、不公平な補助金に対抗するために関税が必要だと主張しており、下記のように声明
-[補助金/融資/土地や原材料への安価なアクセスといった大規模な政府援助で、中国の自動車メーカーはEUのライバルより低価格で販売できる]
-[結果として中国製EVは市場を簒奪して雇用を危険に晒している]
ロイター通信によると、[中国の年間300万台のEV余剰生産能力はEU市場の2倍の規模]とされる。米国/カナダは中国EVに100%の関税を課しており、中国にとって欧州は事業拡大の最右翼となっている
関税率は[BYD=17%][Geely=18.8%][SAIC=35.3%]でEUの自動車輸入関税10%への追加賦課。中国製EVが対象となり、欧米メーカ0でも中国製EVであれば[BMW/VW=20.7%][Tesla=7.8%]が加わる
2;関税交渉
中国政府は関税施策は保護主義的で不公平として報復関税を設定して対抗、企業は回避策を探っている。
10月初めに中国商務部は欧州産ブランデーに最大39%の暫定関税を課すと発表。BYD/Cheryなどのメーカーは関税回避にむけて欧州域内での製造にシフト。BYDはハンガリー、Cheryはスペインで製造を計画している
7月に暫定課税が発行した時点からEU/中国の関税交渉が継続しており、妥協点が見いだせれば状況は変わる可能性もある
過去にはソーラーパネルに関して中国製の廉価品が欧州メーカーを壊滅させた苦い経験があるが、欧州自動車メーカーは自社も関税の対象となるため、前向きな姿勢ではない。特にBMW/VW/Mercedesなどは中国でEVを製造して欧州へ出荷しているため…
3;BYDの状況
中国のEV製造コストの安さを勘案すると、利益を減らせば関税コストを吸収できるため、関税引き上げの実効性は不透明…。Logium-Groupの試算によると[6つのモデルのうち5つは30%関税が付加されても十分に利益が出る]としている
BYDのCEOであるStella Li氏は企業努力でEV事業は成功し、関税っは消費者に混乱をもたらすだけとする
-[現在、多くの企業がICE/PHVに戻っているが、5年後に全世界でBEVが広がった状況においては何もできなくなる]
-[長期的にはEV事業の準備をしておかないと非常に危険で、自動車メーカーは破滅するだろう]