米運輸省が新しい排出基準を設定、他施策との連携で電動化促進へ
米運輸省が自動車に係る新環境基準を設定し、バイデン政権の電動化施策がさらに進みつつあります。
先んじて設定されるEPA規則との相互補完/両輪を担うもので、最近のDoEによるクレジット減量も加えて自動車各社に電動化を促すことになりそうです。
今回の規則では[節約][健康]を大きく打ち出しており、より多くの米国人に基準による効用を実感してもらうことで進める狙いもあります。
1;米運輸省の新しい燃費基準策定
米運輸省は最新の企業平均燃費(CAFÉ;Corporate Average Fuel Economy)を最終決定、水準はバイデン政権の当初設定より緩和
燃費向上を義務付けることでCO2排出量を7.1億t削減し、700億ガロンのガソリンを節約可能とし、加えて米国民の燃料費を230億ドル節約(600-700ドルを車両寿命までで節約)できるとする
CAFE基準は 燃費を年間2%向上させることを目標としており下記の具体策を執行
(対象モデル) 27年~31年の車両モデルが対象
(平均燃費;31年) [軽量車両=50.4mpg][大型PUT/バン=35mpg]…PUT/バンの増加率は高め設定
ちなみに、当初政府提案は[軽車両=55.7mpg]だった。CAFEの燃費計算はEPAよりも緩やか。特にEVでは平均燃費が50mpgになることはありえない
2;EPA基準とCAFÉ基準
車両排出に関する2つの基準は相互補完関係にあり、大気汚染/燃料費の問題を様々な角度から把握/対応することを目的とする
CAFEの設定数値は先行するEPA基準(排出規制)よりも影響度としては小さく、EPAは新規制で下記のインパクトが生じるとしていた
(出費節約) 燃料費/医療費が年間1,000億ドル節約、車両1台当たりで6,000ドル節約に
(大気汚染) 排出効果ガスが70億t削減
EPA規則/CAFÉ規則ともに、技術に捉われず規制するため、自動車各社は充足方法を柔軟に選択可能。双方ともEV比率向上が基準を満たす最も手早い方法で、各社は引き続きEV普及に注力する方向性
加えてDoEは最近、EVの追加クレジットを減じたため、各社はEVラインナップを拡充/製造強化して消費者への選択肢を拡大する必要が
3;巻き返しの動き
米議会の共和党勢力から当該規則の停止/緩和に対する動きが早速に起きており、TedCruise上院議員は議会審査法を通じて変更をかけようと動いている。加えて一部州の司法長官数名がEPA規則に対する訴訟を起こしており規則の撤回を要求している(石油/自動車業界のロビイングによるものと)
トランプ前大統領も選挙運動の中で[石油会社幹部に電動化規制の緩和/EV基準緩和に向けて10億ドルで達成できる]と発言…
ただ、両規則はEPA/DoTの命令の範囲にあり、米最高裁が判定したとしてもすぐに撤回される可能性は小さい
4;周辺業界の反応
CAFÉ規則に対する反応はまちまちながら環境団体/健康団体/自動車メーカーはおおむね好意的
(Positive反応)
シエラクラブ(Sierra Club;CA州の自然保護団体)及び米国肺協会(ALA;消化器系の医師/患者団体)は好意的な反応
自動車各社は主要ロビイスト[Automitive Alliance for Onovation(AAI)]を通じて変更を支持。AAI会長のJohn Bozzella氏は会長は下記コメント
-[今回の規則は、最近の他の連邦排気ガス規制と連動しており、多くの政策/規則が相互補完関係にあるようになった]
-[一貫性のある政策はAAIにとって非常に大きな効果をもたらすし、国民にも利益が出る]
(Negative反応)
生物多様性センター(CBD;生物多様性保護を中心とした活動を行う過激派)は[規則は不十分で政府は自動車メーカーの圧力に屈した]と表明
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