
最新の充電サービス調査では引き続きのTesla無双、背景にはUXの追求が
JDPowerの最新の調査結果によると米国でのEV充電サービスではTeslaが調査開始以降のトップを維持したとのこと。
詳細を見ると評価要素として[充電/支払のしやすさ(Plug&Charge)][充電器の機能完備]などがあり、他社が事業展開するうえで参考になると思われます。
また、Teslaの優位性は[事業単体でなくEV保有者へのサービスとしてUXを追求したこと]にあるとしており、示唆に富みます。
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2024-us-electric-vehicle-experience-evx-public-charging-study
<JDPの調査でのTesla優勢>
(Tesla無双の状況は不変)
・8/14にJDPowerが公表した最新のレポートによるとEVの充電体験におけるTeslaの地位/存在感は圧倒的で他社優位性は開くばかりな状況
・Teslaの充電NWの強みは事業としてでなくサービスとして構築された点にある
└EV保有者向けサービスで、充電体験を運転体験と連携させてシームレスなフローの構築に集中して現在の覇権(Lv2/Lv3双方でトップにランク)に。
└DC急速充電網であるSuperCharger-NW(SC-NW)が良く知られるが、それ以外にも目的地NW(目的地に到着するとすぐに充電可能)も構築
(Teslaの強さの源泉)
・今回調査で、TeslaのSC-NWへのスコアは[Tesla保有者=743][Tesl以外保有者=706]となり、DC急速充電全体へのスコアである664を大きく上回る結果に
└Tesla/それ以外の差異は[支払いのしやすさ][充電のしやすさ]にあり、自動支払/充電を実現するPlug&Chargeへのアクセスが優位を造成
└SC-NWはTeslaとは当然互換性があるが、それ以外ではコネクタを使う必要が…
<JDP調査;概要>
・JDPによるEV体験充電調査(EVX)はLV2充電/DC充電の充電スポット運営者に対するEV所有者の満足度を測定
└実施期間は24/01-24/06でBEV/PHEVの所有者9,605人が回答
・調査はPlugShareとの協力により実施、満足度は下記の10要素で構成される
-充電しやすさ/充電速度/充電ステーションの状態/充電器の可用性/アクセス利便性/充電中に出来ること/安全性/場所の見つけやすさ/充電コスト/支払しやすさ(調査方法)
・調査結果は[Lv2=TeslaDestination(658)/Volta(645)/ChargePoint(626)]で[DC急速充電=TeslaSupercharger(731)]となった
└Teslaは4年連続で最高位を獲得し、セグメント平均を上回る数値をたたき出した唯一のブランド
<JDP調査;充電サービスについて>
・公共充電は2Q連続で着実に進歩しており、特に米国での充電インフラはEV普及の加速に必要不可欠。
└満足度だけでなく設置数の改善も進んでいる(EV普及速度には達していないが…)
・DC急速充電器に対する満足度は664ptsで前年比10ptsの上昇。公共(Lv2)充電への満足度は614ptsで前年比3pts低下
・JDPのEV部門Director;Brent Groober氏は下記のように述べて昨今の改善を指摘
-[公共充電のスコアは引き続き懸念を惹起するが、楽観的になれる要素も多い]
-[調査は10要素で計測されるが、公共充電は5つで満足度が向上。DC急速充電では6つで満足度が向上]
-[前2Qで全体指標が向上。これは、DC急速充電器の速度/可用性、及び公共(Lv2)充電での充電中の他のことができる利便性など、EV所有者が気にする多分野で進歩]
<JDP調査;SC-NWの強さ>
・Tesla-SCへの評価はTesla所有者で743pts、Tesla以外所有者で706となっており、DC急速充電全体の満足度;664ptsより高い結果に。
└Tesla/Tesla以外の最大の差は[支払/充電しやすさ]にあり、Plug&Chargeへのアクセス可否が大きく影響。Tesla以外所有者はアダプタを利用する必要がある点が足かせに
・Tesla以外のEV所有者がSC-NWにアクセス可能となったことはDC急速充電への満足度向上の大きな要因に。
└Teslaは連邦政府の整備資金へのアクセスをテコに[Tesla車以外への開放][インフラ整備の拡張]を行ったことでSC-NW一強の構造は強化
・JDPは下記のように認識している
-[EV所有者はSC-NWで充電するのが最も満足度高く、Tesla車以外の所有者もSC-NWの広範なNWを利用できることを高く評価する]
-[Tesla所有者は他EVの流入による混雑に懸念を示す向き(利用可能性への満足度低下)もあるが、依然として充電/支払のしやすさを高く評価する]
<JDP調査;結果からの示唆>
(1;充電器の種類で充電速度への満足度が異なる)
・充電速度は前年比較で[LV2=451pts(↓4pts)/DC急速=622pts(↑34pts)]という結果、JDPは下記認識を示す
-[DC急速充電の充電速度は業界全体で進歩、全事業者がこの領域を改善。特にTesla以外のNWでの改善は充電環境の高度化に大きく資する]
(2;自動支払への指示の高さ)
・EV所有者は充電/支払をシームレスに実施するPlug&Chargeを最も支持する
└[車両識別/車両&ユーザ認証/課金システムへの接続]をベースとし、EVを充電器に接続してすぐに充電を開始できる
・支払方法スコアは[支払いしやすさ][充電しやすさ]で構成されて下記となる。
-自動支払;886/806,メーカーのモバイルアプリ;860/787,クレカ;631/596
・JDPは充電セッションの時間短縮が自動支払への指示の背景にあるとする
-[自動支払を使用するDC急速充電への満足度は高く、合理化プロセス/セッション迅速化を通じた時間節約が重要]
-[自動支払でのセッションの平均所要時間は27分で、対クレカで8分/対アプリで7分早い]
(3;充電器の状態は依然大問題)
・充電のために訪問したが故障等で充電できない問題は依然として大きく、EV所有者の19%が課題としており、昨年から改善していない
└詳細を見ると[充電器が使用不可/機能不全]に続いて[待ち時間の長さ][ケーブルやコネクタの損傷]等が挙げられる