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EV新興;Canooが破産申請し、即時事業停止へ

米国で電動バンの製造を行っていたCanooが破産申請し即時事業停止を行いました。同社はSPAC上場やApple/Walmartとの契約などで華々しかったですが、製造能力が追い付かず事業信頼性が底に落ち、資金も回らなくなり破産に至りました。EV新興は多くあれど、成功しているのはTeslaとBYDのみですな…

1;Canooの破産申請/事業停止

 1/17にEV新興;Canooが創業7年にして破産申請、即時事業停止をリリース。デラウェア州破産裁判所で連邦破産法7章に基づく手続で資産清算へ(申請時点の負債総額は1.64億ドル、残資産は1.26億ドルと主張)
 先だって24/12末にCanooは従業員レイオフ/オクラホマ州工場休止を実行していたが、24年の納入実績は僅か数台のEVバンに留まり、幹部退職/レイオフ/工場閉鎖など多難な状況で、11月中旬の現預金はわずか70万ドルしかなかった…

2;Canooの概要

 CanooはEV新興;FaradayFutureを退職した幹部が17年末に設立され、当初はEvelozcityと呼ばれていた。ステアバイワイヤシステムなどの高度テクノロジーを活用し、様々な形状/サイズのキャビンに電力供給できるモジュラー式EV-PFを開発。
 Canooの事業構想の独特性により、当時はAppleと協業/提携交渉を実施。Appleは過去にEVプロジェクトを秘密裏に促進すべく潜在投資/買収に関心を持っており、Canooの元CTO(CEOも)のUlrich Kranz氏は24年の解散までAppleのEV-PJに協力していた。
 別口ではWalmartと交渉を行い、22年に両社は最大1万台のEV購入契約を締結したが拘束力のない契約でWalmartには責任も義務もなかったため履行されず…

3;CanooのIPO後の凋落

 Canooは20/08にSPAC経由上場を発表、20/12に上場して6億ドルを調達。上場後数年間で少数の電動バンを製造/デリバリを行っており、顧客ラインナップには米国郵政公社/国防総省/NASAなども入っていた
 上場後、会長/CEOとして連続起業家/投資家であるTony Aquila氏を迎えたがピボットにピボットを重ねて経営は大混乱。
 Aquila氏は[販売対象の変更(乗用車→商用車)][自社製造↔製造外注][本社移転の発表/撤回][オクラホマ州での製造施設建設計画]など様々に右往左往して…

 遂に、CanooはIPOへの近道としてSPAC経由上場を活用し、米国で破産した最新のEV新興に。SPAC上場EVの破綻は22/06のElectric Last Mile Solutionsが最初の事例であり、Fisker/ Lordstown Motors/Proterra/LionElectric/Arrivalなどがそれぞれ異なる形で破産保護を各国で申請している
 ちなみにAquila氏の金融企業は保有株式評価額/Canooからのジェット機使用料/オフィススペース賃貸料などで確り利益を上げていた

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