Chap11申請のFiskerの遺産相続は争続状態へ
Chap11を申請して破綻手続入りしたFiskerですが資産売却や手続を巡って債権者間で対立が深まっています。
Fiskerの最大債権者/株主であるHeights社と無担保債権者グループ間の物で、技術的不作為でChap11申請を意図的に遅らせたとHeights社を批判しています。
いずれにせよHeights社は最大債権/株式/優先担保を持つため、本件手続きを主導することに変わりはないようです。
https://www.veritaglobal.net/fisker/document/2411390240620000000000003
1;Fiskerの苦境は23年8月から
Chap11申請書によるとFiskerは23/08には[潜在的な破綻]の危機にあったと判明。当時からFiskerは他の自動車OEMに提携/投資を求めて動き、唯一の継続交渉相手として日産と続けてきたが、23/01には交渉決裂が報じられていた。その後、従業員レイオフ/OCEAN-SUV生産停止などの施策を場当たり的に打ちまくって、破綻手続きへ
創業者/CEOのFisker氏は同時期に消費者に対して自信満々に事業性/成長性の明るさを喧伝していたが真っ赤な嘘だったと判明…厚顔無恥ですなあ
在庫が積みあがって財務をひっ迫する中で、[Product-Vision Day]イベントを開催して低価格EV/電動PUTなど開発中の複数の新モデルを宣伝。Fisker氏は当時[当社は立ち止まらず、デザイン/イノベーション/持続可能性を独自に組み合わせ再定義し、複数の異なるセグメントに進出する。この大きなビジョンを世界に知ってほしい]と述べていた…
2;Chap11手続と資産売却
Chap11手続は[資産を秩序だって効率的に清算しつつ、事業安定させる猶予]を作ることを目的とするが、債権者と負債が非常に多すぎるため資産売却/債務返済後の事業の継続性は絶望的…
-在庫の行方-
OCEANの在庫4300台は自動車リース会社(非開示)への売却で初期合意したとされ、売却資金はHeights Capital Managementに直接わたるとみられる
Heights社はFisker最大の債権者/担保権設定者で、Susquehanna International Group(米金融サービス大手)の子会社
-車両製造機器-
Fiskerが車輛製造委託先であるMagna社に供与した製造機器も対象で、180台の組立ロボ/アンダーボディライン一式/塗装工場など
Fiskerによると対象資産/価値を明示していないが5億~10億ドルの価値があるとだけ記載。ただ、相当に特殊な機材のため価値を認める買い手探しは難しそう
-車両設計/デザイン-
提出書類内で[低価格;Pear-EVは開発中]で[PUTは開発後期]にあるとしているが、現時点での車両設計に価値があるのかは不明だが、Chap11申請前に共同開発パートナーであるBertrandt-AGから訴訟を起こされている
Bertrandt社は現在、Fiskerの最大の無担保債権者。無担保債権者の代理人弁護士は[Chap11に達するまで時間がかかりすぎ、技術的な不履行はHeights社への資産引渡に繋がった]と批判
3;最大債権者;Heights
Heights社は2023年だけで5億ドルをFiskerに貸付、債務には株式転換オプションが付与。申請書では元金払いで1.83億ドルの未払いがあるとする
FY23-3Qの財務報告書の提出遅延で財務コベナンツに抵触、FiskerはHeightsに[既存/将来の全資産に対する最優先担保権]を設定。これによりFiskerの財務管理権はHeights社に移った
FiskerにCROを派遣、財務状況を完全に把握することでChap11を主導できる位置になった。事業投資部門の弁護士は[Fiskerに莫大な信用供与をしてきたのに裏切られ、多くの債権者がいるがもっとも失望しているのが当社だ]と述べ、無担保債権者グループの主張を[サウンドバイトである]と一蹴している
4;Fiskerの現状
従業員数は400人にまで低下し、ピーク時比較で25%の規模。内訳としては[米国;約181人][ドイツ;70人][オーストリア;23人][インド;57人]
残余資産と支出予定は下記の通り
(預金)様々な口座に約400万ドル、さらに約600万ドルの制限付き現金
(資産)欧州の充電NW;Allegoの株式を約40万ドル分売却予定
(支出)今後2週間で従業員給与/福利厚生に約170万ドルを支出
(他)IT/SW,アフターサービス,車両買戻しに関する支出は加味していない
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