米下院でEPA基準骨抜き法案が可決(恐らく上院/大統領段階で廃案に)
米国で来年初めの施行を目指して整備が進んでいるEPAの新規制(2032年の排ガス規制)に対して下院共和党が反対法案を提出/可決されました。
ただ、EPAは目標提示だけで帰省達成への義務等は強制していないところ、誤解に基づく不安であるとの指摘もあります。
最終的には大統領の拒否権発動で法案は葬られると思われますが、米国のロビイングの強さを感じさせる一件であります。
https://www.congress.gov/bill/118th-congress/house-bill/4468
1;米下院でのCARS法可決
12/7の米国下院本会議では共和党+民主党一部議員の賛成でCARS法(HR4468)が可決された。現在EPAが策定中の新排出基準の実施阻止を企図したもので、23/04に発表された規制案。
次に上院に送付/採決が為され、最終的に大統領の署名段階で拒否される予想ではあるが…
法案では下記の書きぶりでEPA基準の無効化を目指すが、EPA基準自体はEVを義務付けるものではない
└[本法はEPA基準制定日に発行し、制定日より前に規定/改定を含めて”特定技術の使用義務付け”及び”動力に基づく入手規制”を行わない]
2;EPAの規制
EPAの新排出基準は4月に公表されてパブコメに供されているが、当局は来年初めには規制施行を目指している。2032年の目標は掲げるが、排出目標を達成するための道筋は義務付けておらず、単に目標自体を設定しているだけ
一方で本規制に対しては相変わらずの百家争鳴状態ではある…
A;自動車イノベーション同盟(AAI;ほぼ全ての自動車メーカーが所属)
所属各社はEVに全力で取り組みつつも、規則は合理的でも達成可能でもないとして排出基準の改悪撤廃を主張する
B;EV専業各社
既存自動車メーカーに比べて10年近く早く規制目標を達成しており、新規性の求める32年目標を十分に達成している
C;環境/保健団体
EPA基準は人体に有益な効果をもたらし、公衆衛生観点から社会保障等のコスト削減に貢献する
3;法案提出者の主張と誤解
ウォルバーグ議員(Rep-MI)はEPA規制があまりにもEV偏重であるとして下記コメントを述べるが、EPA規制への正しい理解がない可能性も…
-[EVは自動車産業の将来で大きな役割を果たすかもしれないが、政府は水素/HV/ICEなどの他技術を軽視すべきではない]とコメント
ただ、EPA規制は自動車の排出レベルを義務付けるだけで自動車メーカーは任意の技術を用いて排出を下げるだけ。すなわち、ICEで適切レベルに達するならば自由に使用でき、HV/水素がICE以上に貢献出来て消費者の需要を惹起することができるならばEPAは邪魔するものではない
本法案自体は提出議員の誤解に基づいているが、共和党に対する風当たりも強くなりつつある…。法案がEPAに対して課す指示は、[大気浄化法の目指す”きれいな空気を保護”]への反対行動でもあるため、共和党は国民の健康に無関心とも
ちなみに、現在の下院会期の初めにEPAによるトラック煤規制に対する反対法案の採決も行っていた
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