EUの中国系EVに対する新関税が発表、影響は如何に
欧州委員会は中国製EVに対する追加関税の設定を発表しました。
現段階では初期案で今後の調査/改善策強力で関税率の引き下げもありうるとするあたりは、もろ刃の刃としての関税の効果を最大限引き出そうとしているものとみられます。
EVの盟主たるBYDの関税率の低さを勘案すると、相当にBYDは協力姿勢を出したのだとみられます。
1;EUによる中国EV調査
6/12にEUは中国からの輸入EVが政府補助による不当な優位性を有すると結論付け、追加関税率の設定を発表
調査の結果として[不公平な慣習がEU/欧州OEMに多大な経済的損害を与える恐れがある]とした。23/10に中国のEV補助金に係る調査を開始、調査結果に基づく施策でフォンデアライエン委員長は下記の通りコメント
-[世界市場は今や安価なEVで溢れており、価格は巨額の政府補助によって人為的に低く抑えられている]
中国EVメーカーが欧州をターゲットとする新モデルを多く発表する中で先んじて施策実施を表明。調査会社Jato Dynamicsによると、中国から輸入のEV平均小売価格は、欧州生産モデルよりも29%低かった
2;中国EVに対する関税率アップ
EUは中国当局に連絡を取り、安価EV/関税問題の解決方法を探りつつ関税率を設定。サンプルとして代表的な3社への個別関税を発表。
[BYD:17.4%]
[Geely:20%]
[SAIC:38.1%]
調査に協力した中国の他EVメーカーには、21%の追加関税となる。ちなみに現状の関税率は一律10%に設定されている
v対象企業は、EUの調査結果に対して申立が可能だが、2024/7/4までに解決策が見つからない場合は、新関税が正式に発表される
中国外務省は下記のようにコメントを出し、関税策は混乱をもたらすもので早期の是正を求めた
-[補助金に反対する調査は保護主義の典型であり、中欧貿易関係と世界のサプライチェーンに損害を与えるものだ]
中国のEVメーカー各社は欧州市場深耕に注力しており、関税の早期解決に期待を寄せつつ市場開拓は継続する方向
NIO;[欧州での市場開拓への取組は揺るぎなく、保護主義施策があろうとも引き続きユーザーにサービスを提供し、新たな機会を模索する]
BYD;[米国/欧州は中国製EVを恐れているが、これは中国の強さを証明するものだ]
3;その他
発表によると、Teslaは[最終段階で個別計算された関税率を受ける可能性がある]とのこと
BYDは安価EV;Seagullを武器に各国市場開拓を進めており、タイ/ブラジル/イスラエルではEV市場を席巻。欧州での予定価格は21,500ドルで2月に専用船ででドイツに到着してまず3,000台が欧州市場に解き放たれた
DataForceの調査によると中国製EVの欧州販売は2023年において9%程度だったが、今後のモデル投下で引き上げられる可能性が高い
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