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米政府が自動運転ガイドラインを制定、普及への道筋と主導権確保へ

米国のNHTSAが自動運転車の導入に係るガイドラインをリリースし、業界にとっては待望の基準設定とのことで注目が集まっています。トランプ政権発足前の設定によりルールメイキングにおける米国の主導権確保への意思も垣間見え、業界/当局の連携でますます米国での整備が進みそうです。


1;NHTSAの自動運転ガイドライン

 12/20に米国道路交通安全局(NHTSA)が自動運転車の導入ガイドラインを公表、ハンドル/ペダル/サイドミラーなどが無い自動運転車を大規模導入しやすくすることを目的とする。
 ガイドラインは自主的なものだが、安全性に関する定期報告の機会を通じて参加企業に[車両/運用の透明性へのコミットメントを示す機会]を与える

 プログラムへの参画要件/継続要件は以下で、NHTSAは報告書を公開
 (参画) 自動運転車の[設計/開発/運用]の安全性データの提出と審査
 (継続) 参加者はNHTSAに対して定期報告/事故報告(衝突などの事故報告)の提出義務を負う
 プログラムには2階層があり、(2)のカテゴリ車両が公道走行するにつれて、NHTSAはデータ報告を通じて自動運転特有のリスク対処への体制整備を行うとする
 (1) 人間による制御/管理前提のフォールバック設計を備えた車両
 (2) 人間による制御なしで製造された車両

2;自動運転業界の要請と動向

 自動運転業界は23年にNHTSAが[AV-STEP]を提案して以降、具体的なガイドラインの提示を要請していた。[AV-Step]ではADS装備車両の安全性/報告の透明性確保/評価プログラムなどについて考え方を提示、手動操作器具が無いため連邦安全基準に準拠しない自動運転車の販売/商品化へのNHTSAの方針となった
 現在、手動操作器具が全て備わった自動運転車はNHTSAの監視なしで公道走行することが許可されるが、人間がが操作できない車両は同局の免除を受ける必要がある

 自動運転業界では下記の動きが起きており、NHTSAは調査を個別に進める
 -Zoox;自社の車両安全性を自己認証しており、NHTSAの免除は必要ないと主張…
 -Cruise;事業閉鎖前に許可なく専用設計ロボタクのOriginを大規模展開する計画を立てていた
 -Einride;ペダルだけでなく運転手席すらない貨物ポッドを商品化予定

3;トランプ政権の動向は??

 トランプ次期大統領&政権移行チームはバイデン政権の[自動運転車に係る事故報告義務]を廃止する方針だが、NHTSAはより多くの安全性データの徴収を求める
 Teslaは米国における自動運転機能搭載車の市場シェアが最大で事故の件数も最大。Teslaは1500件近い事故報告に基づいてNHTSAの複数調査の対象になっている…
 NHTSAは政権移行前にフレームワークを整備して急速に進化する業界に対応すべくデータを取得する方針で、自動運転の性能に関する最低基準の設定でのルールメイキングも見据える

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