シリコン利用LiBを開発/製造するSilaが3.75億ドル調達
バッテリースタートアップに関しては政府や企業の資本&信頼バックが無いと厳しい状況となりつつありますが、シリコン使用LiBを開発するSilaが3.75億ドルを調達しました。
Silaは既にMercedesやPanasonicを取引先として確保しており、希土類を用いずに製造可能なLiBを展開。
地政学/地形学的なリスクが否応に増す中で国内製造可能な同社製品はさらに注目を集めそうです。
1;Silaによる資金調達の成功
6/26に次世代バッテリー新興のSilaは3.75億ドルの資金調達を行ったとリリース
└25年末までにMerceds/Panasonic向けに次世代バッテリーを開発/製造する拠点を整備する予定
└ワシントン州モーゼスレイクに拠点開設予定で、[Titan Silicon]の電極材料の量産を行う
・今回のGラウンドは既存投資家であるSutter Hill Venturesがリードし、Bessemer Venture Partners/Perry Creek Capitalなどが参加して完了した
・調達に関してCEOのGene Berdichevsky氏は同社のバッテリーへの開発取組と生産拡大能力に対する信頼の表れとみている
-[EV関連市場は後期成長/設備投資額の高さから非常に厳しい市場である]
-[当社は優れた技術を持ち、規模拡大/順調な製品化が進んでおり、世界中の誰もが見たいと願うEVの路上走行を実現できる]
<Silaのシリコン使用LiB>
・SilaはLiBの電極を黒鉛でなくシリコンに置換し、安定供給/高速充電/高密度/低価格化を実現することを目指す
└特にシリコンは特定地域で採掘/加工されるのでなく、どこでも生産可能。
└シリコンを使用することで、さらにEVの高速充電が可能となり、より高密度で安価なバッテリーセルとすることが可能
└また、バッテリー製造にあたっても部品を一つ交換するだけで対応可能。完成品メーカーは製造プロセスを大幅に変更する必要がない
・Berdichevsky氏は黒鉛からシリコンに変えることでエネルギー密度が20%から25%に改善したと下記のように述べている
-[将来的には、バッテリーの他部分を変更することなく、エネルギー密度が最大で約40%に改善すると見ている]
└加えて同社は声明で[Titan Siliconの今後の開発では充電時間が10分未満、バッテリーコストも下がる]と述べている
・SilaはこれまでCA州本社で開発/製造した[Titan Silicon]を自動車OEMに提供してきたが、テスト車両への搭載するくらいの量しか生産していなかった
・今回の調達で整備するモーゼスレイクの施設は、将来の拡張を勘案すると100万台以上の車両搭載に耐えうる生産能力となるとのこと
└OEMは調達後に資格認証試験を行う必要があり、すぐにEVに搭載されるわけでないが、既に試験車両に用いていることで、MercedesはG-Wagonで利用する予定
└Mercedes以外でもSilaはPanasonicへの供給計画を公表している
<その他>
・電極(正極)は充電時にリチウムを蓄える重要なバッテリー部品。対極である負極は放電時にリチウムを蓄える
└リチウムは電解液を介して充電/放電の間を行ったり来たりして、セパレーターがショートを防ぐ構造
・他のEV用バッテリー企業は製品の市場投入をしつつも生き残りに相当苦労している中での成功となった
└今年初めにはIonic Materialsが事業停止/閉鎖、UmicoreはEV販売の低迷のなかで業績を下方修正、Freyr Batteryは次世代バッテリーの生産拡大に失敗…