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米国政府の新EV/バッテリー製造策(155億USD)が始動

 米国エネルギー省(DoE)が8/31に155億USDに上るEVシフト支援パッケージを発表しました。既存工場のEVシフトやバッテリー製造に係る設備投資などへ米国内製造への補助で、米国外OEM工場も対象になると思われます。
リリース文などを見るに建設中/準備中の拠点も対象となりそうで、結構ななりふり構わない雇用促進策だなと…大統領選も近いですからねえ。

https://www.energy.gov/articles/biden-harris-administration-announces-155-billion-support-strong-and-just-transition

1;新しい施策

 米DoEはEVシフトに向けて新しい補助政策に向けて155億USDの予算を確保してEV/電池の国内製造にむけた支援策を拡充。事業者はDOEを通じて補助金申請/優先融資を申請。
 対象PJ選定にあたっては[団体交渉協定の維持][上位1/4の賃金を支払う事業者][高品質/高賃金の生産労働力]等が基準となる。バイデン政権の政策に沿うと、[ジョージア州][ノースカロライナ州][テネシー州]などの保守的な州での施策が優先されるか
[155億USDの内訳]
(120億USD→補助金;20億/融資100億)
-EV/HV/FCVを生産するための設備改修(ICE工場の改修/新設
-小型/中型/大型EV向けの自動車製造転換プロジェクトを直接支援
(35億USD→追加での予算措置で[Notice of Intent])
-国内送電網の拡大にむけた、EV/国内Grid向けの電池の国内製造
-従来輸入していた電池材料/部品の拡大に充足

2;背景

 COVID-19/ウクライナ紛争によるサプライチェーン断絶で[中国や他国]からのLiB製造に向けた重要鉱物/部材の入手が困難になり、メーカー各社は製造/調達を国内回帰。22/08のIRA可決は産業の国内回帰を加速、その後多くの企業は米国本土に電池製造施設を建設する計画を発表/実行
 最近のOEM各社の動きは下記の通り
 ‐Honda;オハイオ州の自動車工場をEV/関連部品生産拠点へ改修
 ‐Toyota;EV戦略の一環で、ジョージタウン工場をEV製造向けで再整備
 ‐GM;デトロイト工場をEV組立工場[Factory-Zero]に改修
 ちなみに最近のDoE報告書では、[米国はバッテリー/EV生産を拡大し続ける一方で、送電網インフラの改善に投資する必要がある]と。関連して、CNBCは米国がクリーンエネルギーを全国に送電/需要対処への高電圧送電線を建設するには200-300億USDが必要になると報じている

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